文化活動の現場を、少しでも皆さんに身近に感じていただけたらと思い、ご紹介します。

 第26回 訪問リポート
(山際瑞竹軒さんのアトリエ) (2011.08.08)


 今回紹介するのは、竹工芸の専門家でその道50年以上の山際瑞竹軒さんです。山際さんは書道にも精通しておられます。市展で無鑑査になる程の腕前で山際法仙という名前で活動されていました。ただ、残念なのは昨年で書道は辞めたとお話しされていました。

作品  父親が初代瑞竹軒として竹工芸をされていました。山際さんが竹工芸の道に本格的に入られたのは高校卒業してからです。高校時代はレコードがほしくて父の工房アルバイトをしてそのままのめり込まれてたそうです。中野竹藝で働いておられましたが、平成2年に弟と共に独立されたそうです。独立後は左図の丸窓を主力として作成されていました。竹を丸く曲げる技術は山際さんの専売特許だそうです。


 竹は、松竹梅と等級の象徴として頻繁に使われており馴染みが深いものです。しかし、竹工芸は意外と浸し身がないかもしれません。今回は、よく目にする?茶筅ができるまでをご紹介します。

竹の種類 と、その前に竹の種類を紹介します。左から班竹、煤竹(すすだけ)、真竹、黒竹です。煤竹は古い藁葺き屋根民家の屋根裏や天井からとれる竹のこと。100年から200年以上という永い年月をかけ、囲炉裏の煙で燻されて自然についた独特の茶褐色や飴色に変色しているもので、高価な素材です。真竹、黒竹は竹細工でよく使われていて身近なものですね。ちなみに真竹は緑のよく目にする一般的な竹です。


 茶筅には真竹を使います。
茶筅の作製工程

茶筅
完成図
節(ふし)の上半分位から先方の表皮をむきます。次に大割包丁で半分ずつに割って16割にします。これを1片ずつ折り上げ、包丁で皮肌と身を分け、身を除きます。最終的に160本作り、穂を折り上げ糸で編んでいくと完成です。

作品
左の作品は平成8年全国伝統的工芸品コンクールで商工中金理事長賞を受賞した作品です。先ほど紹介した煤竹を使った作品になります。
作品はWEBギャラリーでご覧下さい。

また、使う人の気持ちがわからないといい物は作れないと茶道や尺八も習われています。
尺八は5年前から始めたとのことですが、朝夕の散歩の時もMP3プレイヤーを聞いたり、練習も毎日されています。
美しい音色を聞かせていただきました。
尺八演奏風景
本人と作品  山際さんの作品はとても繊細でいて美しい曲線を描いており竹の新しい一面を垣間見た気がします。

  本日はありがとうございました。



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