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アザレアのまち音楽祭2007





アザレアのまち音楽祭 2007 公演記録


〜開会式典〜


2007年5月13日(日) プレゼンター:オムロン倉吉(株)

アザレア室内オーケストラ演奏会
指揮/松岡 究
 ソプラノ/寺内智子 ピアノ/小谷郁美
会場:倉吉未来中心大ホール
午後2:00  700円
  @ファンファーレ 打吹音楽倶楽部ブレーメン
  A会長あいさつ アザレアのまち音楽祭実行委員会会長 金澤瑞子
  B来賓祝辞   倉吉市長 長谷川稔
  C音楽祭賛歌  アザレア室内オーケストラ
              歌/鈴木百百子  指揮/小谷敏彦
     [ファンファーレ/小谷敏彦作曲 音楽祭賛歌/山本喜三作曲]

【プログラム】
モーツァルト作曲  モテット「踊れ、喜べ、幸いなる魂よ」K.165
          ソプラノ 寺内智子
ベートーヴェン作曲 ピアノ協奏曲第3番 ハ短調 作品37
          ピアノ 小谷郁美
ベートーヴェン作曲 交響曲第8番 ヘ長調 作品93

【指揮者プロフィール】

 松岡 究(まつおか はかる)

 1987年、東京オペラ・プロデュース公演「ビバ!ラ・マンマ」(ドニゼッティ作曲)を指揮しデビュー。その後、文化庁優秀舞台奨励公演で「蝶々夫人」(プッチーニ作曲)、「オテロ」(ロッシーニ作曲)を指揮。その他「ヘンゼルとグレーテル」「婚約手形」「カルメン」「椿姫」「ドン・ジョヴァンニ」「ハムレット」等の作品も高く評価されている。
 新国立劇場には「恋は御法度」(ワグナー作曲)や「ハムレット」(トマ作曲)で既に登場しているオペラ指揮のベテラン。
 鳥取県に於いてはミンクス室内オーケストラ結成以来継続して、すべてのコンサートに登場している。そして、これまで6回の第九公演、第九合唱団との共演によるモーツァルトのレクイエム、フォーレのレクイエム、バッハの「ミサ曲ロ短調」、ヴィヴァルディのグローリア、ヘンデルのメサイア等を手がけている。更に、鳥取オペラ協会設立の1999年以来、「フィガロの結婚」及びその再演、「魔笛」、国民文化祭オペラ公演の新作オペラ「ポラーノの広場」の初演、「ドン・ジョヴァンニ」と続き2004年には「ポラーノの広場」の再演も手がけている。昨年の秋には、国民文化祭ふくい2005のオペラ公演でオペラ「つめ草の道標〜ポラーノの広場への道〜」を指揮し、年末に鳥取オペラ協会公演のオペラ「アマールと夜の訪問者」を手がけた。昨年の11月には鳥取オペラ協会公演のオペラ「コシ・ファン・トゥッテ」を手がけるなど、県内のトップ公演を担っている。

【オーケストラ・プロフィール】

 アザレア室内オーケストラ

 泊村在住の医師「吉田明雄氏」が主宰するプロ・アマ混成の極めてハイレベルな室内オーケストラです。設立当時から指揮を担当するプロの指揮者「松岡究氏」の薫陶を求め、各地のオーケストラから参集したメンバーによって編成されています。よりレベルの高い音楽の追究をしたいと、音楽家としての自立を求めるアマチュア奏者にプロ奏者がゲスト参加して、素晴らしい音楽を紡ぎ出す限りなくプロに近い演奏集団です。


 メンバー
1st,Vn:吉田明雄、曽田千鶴、佐倉伸一、野村知則、
2nd,Vn:永江佳代、益尾恵美、矢尾真希子、井上志保
Va: 足立淳、松永佳子、長田直樹、山梨豪彦、川村彩花、北山三枝子
Vc: 原田友一郎、須々木竜紀、中野俊也、川元明子
DB: 生田祥子、渡辺琢也、大津敬一
Ob:古川雅彦、上代美樹
Fl:稲田真司、古瀬由美子
Cl:杉山清香、山田祐司
Fg:木村恵理、橋本美紀子
Hr:小椋智恵子、石和田淳
Tp:大場明夫、玉崎勝守
Timp: 照沼 滋

【ソリスト・プロフィール】
ソプラノ 寺内智子(てらうち ともこ)

 大阪音楽大学音楽学部声楽科卒業。同専攻科終了。声楽を天野春美、E・ラッティ、伊藤京子各氏に師事。関西二期会研究生を経て、1998年イタリアへ留学。M・フェラーロ氏によるマスタークラス受講。イタリアにてオペラ「ラ・ボエーム」ミミ役、「カプレーティ家とモンテッキ家」ジュリエッタ役を歌い好評を得る。帰国後も、神戸アーバンオペラ「フィガロの結婚」スザンナ役をはじめ「愛の妙薬」「カルメン」「魔笛」「ポラーノの広場」「沈黙」などのオペラに出演。第29回イタリア声楽コンコルソ金賞、第20回飯塚新人音楽コンクール大賞、第12回ABC新人オーディション最優秀賞を受賞し外山雄三指揮、大阪フィルハーモニー交響楽団と共演。第16回宝塚ベガ音楽コンクール第2位、神戸灘ライオンズクラブ音楽賞、鳥取県声楽オーディション県知事賞等受賞。2006年、鳥取県知事賞受賞者コンサートで関西フィルハーモニー交響楽団と共演。日本演奏連盟会員、関西二期会、鳥取オペラ協会会員。6月28日(木)大阪いずみホールにてリサイタル開催予定。

ピアノ 小谷郁美(こだにいくみ)
倉吉東高等学校、桐朋学園大学を経て、桐朋学園大学院大学演奏学科ピアノ専攻修了。1997年のカウベルコンクールにおいて、グランプリの花本美雄賞を受賞。海外派遣に選ばれ、オーストリア・チェコを訪れる。1997年鳥取県高等学校総合文化祭ピアノ部門最優秀賞受賞。1998年日本ピアノ教育連盟ピアノオーディション全国大会高校生部門入賞を果たし、入賞者演奏会出場、並びに部門入賞者より1名の公開レッスンを、モスクワ音楽院教授ヴォスクレセンスキー氏に受ける。2002年オーストリアにてブラティスラヴァオーケストラとモーツァルトのピアノ協奏曲を演奏し好評を博す。2003年日本クラシック音楽コンクール全国大会入選。2005年2月倉吉未来中心にて堀江真理子氏(Vn)とデュオリサイタル。2005年第1回大阪ピアノコンクール第1位。昨年のアザレアのまち音楽祭のサロンに初めて登場。同年12月、東京サントリーホールに於いてリサイタル。今年3月、米子市に於いて澤カルテットと共演するなど、常にレベルの高い音楽活動を行っている。ピアノを、新田恵理子、西川秀人、アヴォクユムジャン、加藤朋子、徳丸聡子、中井恒仁、野島稔、の各氏に、室内楽を岩崎洸(Vc)、岩崎淑(p)藤原浜雄(Vn)の各氏に師事。国際芸術連盟専門家会員。

【曲目解説】
1)モーツァルト作曲/モテット「踊れ、喜べ、幸いなる魂よ」K.165
 Mozart/”Exsultate,Jubilate”   ソプラノ/寺内智子
   Sp,solo Ob,2 Hr,2 Vn,2p Vio, VC CB
 第一楽章 アレグロ  Fdur 4/4
 「踊れ、歓呼せよ、幸いなる魂よ。天も応えて、共に歌う。」
      レチタティーヴォ
 「雪も嵐も暗き夜も去って、陽は輝き暁が訪れた。恐れず起きよ。喜ばしきものよ。」
 第二楽章 アンダンテ Adur 3/4
 「純潔の玉冠たる汝よ、われらに平安と望みを与えよ。
 第三楽章 アレグロ  Fdur 2/4
 「アレルヤ」
  今回とりあげるモーツァルトの作品は、気軽に親しめて、しかも聴く人すべてを幸せな気分にさせるモテットであり、アザレアのまち音楽祭では、二度目となります。この曲は、モーツァルトの時代にはすでに明確な定義がなくなっていた「モテット」という音楽形式のなかに協奏曲のような急−緩−急の形を持ちこんだ曲なのです。気軽で楽しい名作ですが、特に音楽構成ががっちりしているため、書かれた当時から聴きごたえのある曲として知られていました。モーツァルトは、持ち前の才能と機知で他の作曲家にはまねのできないモテットに仕立てあげています。その特徴は、人声(合唱ではなくソプラノ・ソロ)に合奏群の伴奏をつけて響きを艶やかなものとしたと言う事です。ソプラノ・ソロを起用し、オーケストラの華やかな伴奏のうえにまるでオペラのコロラトゥーラのように聴かせます。そして、ソプラノと楽器群がお互いの魅力を存分に発揮し「競奏」しているようにも聴こえるところ、ソプラノの技巧的なカデンツァがあるところ、これらを考えると、ソプラノ・ソロを独奏楽器とみなしたひとつの協奏曲と言えるかも知れません。特にフィナーレの「アレルヤ」楽章では歌手とオーケストラが華やかな技巧を展開し、「喜び」という言葉以外には形容詞が見あたらないほどの愉悦感を感じさせます。

2)ベートーヴェン作曲/ピアノ協奏曲第3番 ハ短調 作品37
ピアノ/小谷郁美
 第一楽章 アレグロ・コン・ブリオ
 第二楽章 ラルゴ
 第三楽章 ロンド・アレグロ
  ベートーヴェン(1770-1827)は、5曲のピアノ協奏曲を残しています。今回の第3番は、良く知られた第5番「皇帝」に次いで、再三演奏される作品です。ベートーヴェンが29歳であった時代の作曲です。ベートーヴェンは、友人にあてた手紙に「変ロ長調(第2番)とハ長調(第1番)の2つの協奏曲よりもよい作品があります」と書いています。第1番と2番は先人の影響が見られますが、第3番ではベートーヴェンの個性が全面に出ており、自信作であったようです。曲はベートーヴェンのピアノ協奏曲中、唯一の短調作品であり、劇的で内面的な楽想でつくられています。

3)ベートーヴェン作曲/交響曲第8番 ヘ長調 作品93
 Fl,2 Ob,2 Cl,2 Fg,2 Hr,2 Tp,2 Timp,1 St,5
 第一楽章 Fdur 3/4
 第二楽章 Bdur 2/4
 第三楽章 Fdur 3/4
 第四楽章 Fdur 2/2
ベートーヴェンの交響曲については、どなたでも良くご存知のことと思います。ベートーヴェンといえば、ニックネームの付いた交響曲が直ぐに思い浮かびます。アザレアのまち音楽祭でも「英雄」「運命」「田園」など既に取り上げていますが、ニックネームを持たない交響曲も、素晴らしい作品であり、これまでも公演してきています。近年では第一番を2003年度に、第二番を2001年度に、第五番を1998年度に、第六番を1997年度に公演しています。今回は大曲(第七番と第九番)に挟まれた、規模の小さな第八番を演奏します。
 第七番が非常にリズミカルであるのに対し、第八番は軽妙洒脱で典雅な味わいを強く持った作品です。九曲の交響曲中で最も規模が小さく、一般聴衆から見過ごされがちですが、近年はベートーヴェン特有のひつこさがない事で、第八番独自の魅力が再認識されています。昨年逝去された岩城宏之氏は、「メロディーが最も分かりやすいし、すんなりとしている。全てが、ただ書いている内容は、ものすごく複雑で、聴いていると、さらりとしているけれど、ベートーヴェンが最も円熟した時期に七番、八番を作曲した曲と言える。」といっています。有名な話に、八番があまり聴衆に受けないことを弟子のシントラーが、「先生、なんで八番はあまり受け入れられないでしょうか」と聞いたところ、ベートーヴェンが、「ちゃんと書いたからだよ」と言ったとの逸話が残っています。「ちゃんと書いた」とは、ベートーヴェンが渾身の力で書き上げた曲が、聴衆に「分るもんか」という自嘲だったのかもしれません。

【ご案内】
 アザレア室内オーケストラがアザレアのまち音楽祭に登場して18年が過ぎようとしています。実は県内に於いて独自の活動を展開しているミンクス室内オーケストラが「アザレアのまち音楽祭」に出演する時だけ「アザレア室内オーケストラ」と、音楽祭の名前を冠にしている団体です。このオーケストラを主宰している吉田明雄氏は、鳥大医学部の教授であり、泊村でも開業医として地域医療に邁進している優れた医師なのです。そして何よりも、こよなく音楽を愛する芸術家であるのです。吉田氏は「アザレアのまち音楽祭がなければミンクス室内オーケストラ、鳥取県のオペラ活動、米子第九合唱団との宗教曲の共演など、ありえなかったと思います。」と音楽祭に出演し続ける事で、オーケストラが維持され、今日の発展があったと感謝のことばを述べておられます。しかし、アザレアのまち音楽祭にとつては、吉田氏率いるミンクス室内オーケストラが、私たちの音楽祭の土台骨となって、力強く牽引していただいたと深く感謝しています。
 今年度のソリストは、本県を代表するソプラノ歌手である「寺内智子氏」と、倉吉市出身で新進気鋭のピアニスト「小谷郁美氏」をお迎えして開催します。寺内氏については改めて紹介するまでもなく、全国区で活躍しているソプラノであり、どちらかと言えばリリックな歌唱の魅力と、コロラトゥーラの素晴らしさを持ち合わせた方です。今回歌っていただくモーツアルトのモテットは、まさに寺内氏の個性に合致した曲であり、その魅力を最大限に発揮していただけるものと期待しています。また、ピアノの小谷氏は、昨年のサロン・コンサートに初登場し、プロフェッショナルとしてのスタンスを余す所なく発揮する圧倒的な演奏であり、多くの聴衆を感動の渦に巻き込みました。特に、スクリャービンのソナタ第13番の名演は、今も脳裏に残像しています。今回は、ベートーヴェンの第三番ピアノ協奏曲を演奏していただきますが、小谷氏の強靭な音楽構成力が生かされた演奏になるものと楽しみにしています。どうか、お二人のソリストたちご期待くださいますよう願っています。
 ところで、ミンクス室内オーケストラが誕生したのは1987年であり、ちょうど20年前になります。そして、1990年の5月に、アザレアのまち音楽祭のオープニングに登場したのです。その翌年から音楽祭の祝祭オーケストラとして固定され、「アザレア室内オーケストラ」としての活動が始まりました。音楽祭で演奏したシンフォニーは、1990年にモーツアルトの「ジュピター」、1991年にモーツァルトの40番、1992年にベートーヴェンの「エロイカ」、1993年 にモーツアルトの「ハフナー」、1994年も「ハフナー」を、1995年に再びベートーヴェンの「エロイカ」を、1996年にモーツアルト「パリ」を、1997年にベートーヴェンの「田園」、1998年には「運命」を、1999年にモーツアルトの40番を、2000年に初めてハイドンの「ロンドン」を、2001年にベートーヴェンの第2番、2002年にビゼーの1番、2003年にベートーヴェンの1番、2004年にモーツァルトの40番、2005年にベートーヴェンの「運命」、そして昨年のモーツァルトイヤーには「レクイエム」とハイドンの「時計」に取り組んできました。この18年の歩みを見るだけでも、優れた指揮者「松岡究氏」の薫陶が、生きて音楽する喜びの輪が拡大している事が分ります。近年、益々充実するアザレア室内オーケストラの成長振りを、皆さんと共に見守りたいものです。



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