西岡千秋(Br)・寺内智子(Sp)
プレゼンター:清水病院
ジョイント・コンサート
2009年6月9日(火)19:30〜 倉吉交流プラザ 700円
プログラム
第一部
木の匙(寺山修司作詞/中田喜直作曲)
@小さな五つの歌(西岡・寺内)
Aテーブルについて(西岡・寺内)
Bつぶやき(寺内)
C愛について(西岡)
D生活について(西岡)
Eやがて生まれてくる子のための子守唄(寺内)
F城砦(西岡)
G妻の童話(西岡・寺内)
H夏がくると(西岡)
I悲しくなったときは(寺内)
J世界(西岡)
第二部
@むこうむこう(寺内)(三井ふたばこ作詞/中田喜直作曲)
A歌をください(寺内) (渡辺達生作詞/中田喜直作曲)
Bさくら横ちょう(西岡) (加藤周一作詞/中田喜直作曲)
Cゆく春(西岡) (小野芳照作詞/中田喜直作曲)
<曲目解説>
二人のモノローグによる歌曲集
「木の匙」について
『この曲は、1964年第19回芸術参加作品として、朝日放送の委嘱により作曲した。
この作品の企画意図は、要約して言えば、日本に優れた歌曲はたくさんあるが、歌曲集となると非常に少なくなってしまう。ひろく国民に愛される歌曲集を作りたい、ということであった。私も、たとえば「詩人の恋」のような現代版を書きたいと思っていたのと、詩の内容や、スタイル、感覚が私の考えと一致したので、大きな共感をもって作曲することができた。
詩の内容については、寺山修司氏の“詩人のノート”に次のように書かれている。
これは結婚をテーマにし、若い夫と妻が一つの生活を作り上げていく過程を、それぞれのモノローグ体の「歌」によって構成した組詩です。単に、夫と妻と、家具什器と二、三匹の家畜から始められた「家」が、しだいに世界の始まりと終わりを内包した形而上的なものとして根を下ろしてゆくまでをまとめてみようと意図しました。』(作曲者 中田喜直記述より)
今回のアザレアのまち音楽祭では、演劇企画夢ORES(オーズ)代表の森本孝文氏による演出で、西岡千秋、寺内智子が「木の匙」の世界を作り上げます。
ソリスト・プロフィール
西岡千秋(にしおか ちあき)Br
武蔵野音楽大学声楽科卒業。同大学院声楽専攻修了。市田キヨ子、疋田生治郎の各氏に師事。数々のオペラ出演の他、リサイタルをはじめとする演奏活動を行っている。また、鳥取県内においては第九公演のソリストを務め、アザレアのまち音楽祭や山陰の名手たちコンサートなど常連演奏家として活躍。鳥取県内公演のオペラでは「電話」「コシ・ファン・トゥッテ」「フィガロの結婚」「魔笛」「ポラーノの広場」「ドン・ジョヴァンニ」「アマールと夜の訪問者」等に出演。鳥取オペラ協会の全ての公演をプロデュースしている。現在、鳥取大学地域学部附属芸術文化センター准教授。鳥取オペラ協会副会長。鳥取合唱連盟副理事長。
寺内智子(てらうち ともこ) Sp
大阪音楽大学音楽学部声楽科卒業。同専攻科終了。声楽を天野春美、E・ラッティ、伊藤京子各氏に師事。関西二期会研究生を経て、1998年イタリアへ留学。M・フェラーロ氏によるマスタークラス受講。イタリアにてオペラ「ラ・ボエーム」ミミ役、「カプレーティ家とモンテッキ家」ジュリエッタ役を歌い好評を得る。帰国後も、神戸アーバンオペラ「フィガロの結婚」スザンナ役をはじめ「愛の妙薬」「カルメン」「魔笛」「ポラーノの広場」「沈黙」などのオペラに出演。第29回イタリア声楽コンコルソ金賞、第20回飯塚新人音楽コンクール大賞、第12回ABC新人オーディション最優秀賞を受賞し外山雄三指揮、大阪フィルハーモニー交響楽団と共演。第16回宝塚ベガ音楽コンクール第2位、神戸灘ライオンズクラブ音楽賞、鳥取県声楽オーディション県知事賞等受賞。2006年、鳥取県知事賞受賞者コンサートで関西フィルハーモニー交響楽団と共演。日本演奏連盟会員、関西二期会、鳥取オペラ協会会員。6月28日(木)大阪いずみホールにてリサイタル開催予定。
新田恵理子(にった えりこ)Piano
武蔵野音楽大学音楽学部器楽科ピアノ専攻卒業 倉吉市在住。ソロリサイタル、室内楽、声楽・器楽の伴奏など、各地で幅広い演奏活動を行なっている。内外のオーケストラとの共演も数多く、そのうち、ザルツブルク室内オーケストラ、下北山弦楽オーケストラとのライブ録音が、カウベルホールよりCDリリースされている。後進の育成にも力を注ぎ、各地で門下出身の若手ピアニストが活躍している。主宰するハーモニッシェの会においては、若手演奏家のジョイントコンサートや、ピアノリサイタル、来日演奏家との交流コンサートなどを企画している。全日本ピアノ指導者協会正会員、同鳥取県支部事務局。鳥取オペラ協会ピアニスト。ハーモニッシェの会主宰。
森本孝文(もりもと たかふみ)演出
劇作家、演出家、演劇プロデューサー、演劇企画夢ORES代表。(財)舞台芸術財団演劇人会議評議委員、日本劇作家協会中国支部副支部長、BeSeTo演劇祭日本委員。
'84年から'96年まで地元劇団、鳥取演劇集団に在籍後、演劇企画夢ORES(オーズ)を結成。'98年から劇作活動を始める。地域特有の共通認識をセリフに方言を用いることで表現し、日々の暮らしの中にあるドラマを緻密に描く作風で、鳥取県の劇団としては初めての全国的な活動を続けている。 代表作品に「本日はお日柄もよく」「白い部屋の情景」などがある。
ご案内
西岡千秋氏が、鳥取大学に赴任してこられて以来、優れた多くの音楽人を世に送り出しています。また、鳥取の地にオペラの花を咲かせ、鳥取オペラのプロデューサーとしても卓越した力を発揮しておられます。アザレアのまち音楽祭には、当初段階から継続してご出演いただき、音楽祭の核とも目されています。そんな意味で、鳥取県の音楽界に多大な実績と貢献をもたらし、聴衆からこよなく愛されている人は他にいないだろうと思います。
今回のコンサートは、西岡氏からの提案で、ソプラノの寺内智子さんとのジョイントで、これまでにないオペラチックな仕立てによる歌曲がメインです。山陰に於いて、現在望みうる最高のメンバーによるジョイントであり、大いに期待しています。