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指揮者ぶんらく

アザレアのまち音楽祭2010





アザレアのまち音楽祭 2010 公演記録


【木村恵理ファゴット・コンサート】

Piano 望月 美希

6月3日(木)19:30 倉吉交流プラザ 700円

〜 ライプツィヒをたずねて 〜

第一部

@ファゴットと通奏低音のためのソナタ ハ長調(J. Fr. ファッシュ作曲)T. Largo
U. Allegro
V. Andante
W. Allegro assai
Aファゴット小協奏曲 変ロ長調 Op. 12(F. ダヴィッド作曲)〜生誕200年〜
T. Andante canrabileU Presto agitato

第二部

B:無伴奏チェロ組曲第1番 ト長調 BWV 1007(J. S. バッハ作曲) T. PreludeU. Allemande
V. Courante
W. Sarabande
X. Menuet T & U
Y. Gigue
C無言歌 Op. 109(F. メンデルスゾーン作曲)
D歌の翼に Op. 34 - 2(F. メンデルスゾーン作曲)
E幻想小曲集 Op. 73(R. シューマン作曲) 〜生誕200年〜
T. Zard und mit AusdruckU. Lebhaft, leicht
V. Rasch und mit Feuer
〔解説〕
J. Fr. ファッシュ:ファゴットと通奏低音のためのソナタ ハ長調
ヨハン・フリードリヒ・ファッシュ(1688 - 1758)は、ライプツィヒのトーマス学校、ライプツィヒ大学で音楽を修め、バッハの前任のトーマス教会であるカントル、クーナウに師事した。大学在学中にコレギウム・ムジクムを設立。後にバッハもこの団体の指導にあたった。1722年にトーマス教会のカントルのポストに志願したが、その職にはバッハが就いた。 F. ダヴィッド:ファゴット小協奏曲 変ロ長調 Op. 12フェルディナンド・ダヴィッド(1810 - 1873)はヴァイオリンの名手でもあり、ライプツィヒ音楽大学の設立とともに教授として就任。メンデルスゾーン指揮のゲヴァントハウス管弦楽団ではコンサートマスターを務め、1845年にはメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲を初演した。「ファゴット小協奏曲」は、当時のゲヴァントハウス管弦楽団であった首席ファゴット奏者のために書かれた。全2楽章は続いて演奏される。
J. S. バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番 ト長調 BWV 1007 ヨハン・セバスティアン・バッハ(1685 - 1750)は1722年にライプツィヒのトーマス教会のカントルに就任し活躍した。彼の作品は、神学にもとづく宇宙観がつまっている。Bachはドイツ語で「小川」を意味し、ベートーヴェンは「バッハは小川でなく大海 Mehr だ」と言った、あまりにも偉大な作曲家。今もトーマス教会に眠っている。無伴奏チェロ組曲の自筆譜は残っておらず、バッハの妻アンナ・マクダレーナやバッハの弟子の写譜が残っているだけ。
F. メンデルスゾーン:無言歌 Op. 109F. メンデルスゾーン:歌の翼に Op. 34 - 2フェリックス・メンデルスゾーン(1809 - 1847)によるチェロとピアノのための作品「無言歌」とドイツ・リートの「歌の翼に」。1829年にメンデルスゾーンは、それまで100年の間忘れ去られていたバッハの「マタイ受難曲」を発掘、再演したことでも知られている。また1843年にはライプツィヒ音楽大学を設立し、開校させた。
R. シューマン:幻想小曲集 Op. 73ロベルト・シューマン(1810 - 1856)は1840年からライプツィヒのインゼル通りでクララ・シューマンと初めて共に暮らし始めた。この時期、交響曲第1番「春」は、メンデルスゾーン指揮のゲヴァントハウス管弦楽団により初演され、大成功をおさめた。ライプツィヒ音楽大学では作曲とピアノの教授に招聘される。「幻想小曲集 Op. 73」は、クラリネットとピアノのために書かれたが、出版社によりヴァイオリンもしくはチェロで演奏しても良いと記された。


プロフィール

 木村 恵理(きむら えり)Fg

 島根大学卒業、同大学院修了。教育学部社会科研究室に在籍しながら数学も学び、大学院にて音楽研究室に籍を移し音楽に取り組む。ファゴットを吉田將、岡崎耕治、井上俊次、伊藤昇の各氏に、室内楽を手塚実氏に学ぶ。バッハとその周辺について丸山桂介氏の講義を受講中。国際教育音楽祭ミュージック・マスターズ・コース・ジャパン(MMCJ)2009へ参加、Euro Music Festival Leipzig2009でJ. M. Thome氏のマスタークラスを受講し研鑽を積む。これまでに出雲室内管弦楽団とヴィヴァルディのファゴット協奏曲で、またミンクス室内オーケストラ、出雲フィルハーモニー交響楽団とモーツァルトのファゴット協奏曲で共演するほか、多くの演奏会に出演。アザレアのまち音楽祭には2008年に続いてのソロでの出演。アザレア室内オーケストラファゴット奏者。演奏活動のほか、出雲北陵高等学校音楽コース非常勤講師、出雲芸術アカデミー音楽院講師として指導にもあたっている。


 望月 美希(もちづき みき)Piano

 ブルガリア国立ソフィア音楽アカデミーピアノ科・伴奏科卒。K. ガネフ、J. ガネバ、本荘玲子、N. タドソンの各氏に師事。在学中にブルガリア各地のオーケストラと共演。94、96年には浜松でソロリサイタルを開く。98〜03年にはカリフォルニア大学サンタバーバラ校、テクニオン大学、コネティカット大学で伴奏者及びコレペティトゥアとして活動。08年にはベツレヘムへ室内楽の演奏旅行を行う。07年の出雲オペラ「カルメン」や09年のプラバ音楽祭「ぺらぺらオペラ」でコレペティトゥアを務めるなど、現在松江および出雲にて音楽活動を行っている。


ディレクターのコンサート案内
 木村さんのファゴットは、一年ぶりの再会コンサートとなります。ファゴットという楽器は、一般的になじみの深いものではありませんので、とても地味に感じます。ファゴットの歴史は古く、多分その前身はギリシャ時代にまで遡ることでしょう。オーケストラの中では、木管楽器の低音部を担当しますから、大抵のオーケストラになくてはならない存在なのです。しかし、華やかなメロディーにはあまり縁が無く、縁の下の力持ちといった表現がピッタリかも知れません。
 今回のコンサートでは、このファゴットの個性を最大限に発揮するように仕組まれたオリジナル作品が登場します。バッハと同時代を生きた「ファッシュ」のソナタなど、アザレアのまち音楽祭の聴衆には初体験でしよう。更にメンデルスゾーンと同時代に活躍したダヴィッドのコンチェルトも、聴き逃せないものになるでしょう。
 木村さんのファゴットを初めて聴いた時、かつてアザレア室内オーケストラの一番ファゴットを吹いていた伊藤昇さん(故人)を思い出していましたら、手ほどきを受けたとのことでした。鳥取県の学校に、ファゴットという高価な楽器が導入されたのは、昭和60年の国民体育大会鳥取大会の式典音楽を担当することになった時です。その時、幾度と無く私の勤務した学校にも来てくれて、指導したのがN響の岡崎耕治氏であり、伊藤・木村両氏の先生だったとのことです。アザレアのまち音楽祭を28年も続けていると、様々な出会いと奇跡のような瞬間があったりするものです。
 地味だが華があり、ほとんど完成された演奏様式を見せてくれる木村さんのファゴットを、どうぞお楽しみください。



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