【西岡千秋バリトン・コンサート】
Piano 瀬川則子
2011年5月10日(火)19:30 倉吉交流プラザ 700円
第1部
@熱い血潮よ(A.スカルラッティ作曲)
オラトリオ「エルサレムの王ゼデキア」より。
A貴女が私の死の栄光を(A.スカルラッティ作曲)
1697年にナポリで初演された正歌劇と言われる「十人委員会の凋落」(La caduta de'Decemviri)の中のアリア。静かで落ち着いた、優美な旋律の中に、強い決意が歌われている。
Bすみれ(A.スカルラッティ作曲)
元はスカルラッティの作ったオペラ「ピロとデメトリオ」(Il Pirro e Demetrio)の中のアリア。愛する人を、慎み深く美しいスミレの花になぞらえて歌う。
Cどうか満たしておくれ(ベッリーニ作曲)
自分の心は楽しまなくとも、愛する女性をどうか幸せにしてほしいと願う曲。
Dお願いだから 愛する人よ (ベッリーニ作曲)
「私が情け知らずな男だと言わないでほしい」と愛する女性に懇願する、情熱的な求愛の歌。
第2部
@誰かがちいさなベルをおす (やなせたかし作詞/木下牧子作曲)
やなせたかしの詩集「愛する歌」の中の10篇の詩に、木下牧子が曲をつけた「女声・同声合唱による10のメルヘン「愛する歌」より。やなせたかしの詩の世界と言葉の響きを、しみじみと、素晴らしい曲想の中に生かしている。
Aロマンチストの豚(やなせたかし作詞/木下牧子作曲)
女声・同声合唱による10のメルヘン「愛する歌」より。ユーモラスで切ない歌詞を、明るいメロディで包んだ大人の童謡。
B野菜サラダ物語(寺島尚彦作詞・作曲)
野菜サラダをはさんだ、さわやかなカップルの物語。
Cさとうきび畑(寺島尚彦作詞・作曲)
沖縄の、風で緑に波打つさとうきび畑のなかに、痛ましい沖縄戦の記憶が歌われている。
Dこの星に生まれて(瀬戸内寂聴作詞/千原英喜作曲)
合唱組曲「ある真夜中に」のうちの第二曲。愛することで知った生きる喜び、悲しみを歌う。
E寂庵の祈り(瀬戸内寂聴作詞/千原英喜作曲)
合唱組曲「ある真夜中に」のうちの第三曲。すべての人々を愛し、皆の幸福と平和を願う歌。
Fワクワク(谷川俊太郎作詞/新倉健作曲)
谷川俊太郎の明快な詞に、生きる喜びが込められた歌。
プロフィール
西岡千秋(バリトン)
武蔵野音楽大学声楽科卒業。同大学院声楽専攻修了。市田キヨ子、疋田生治郎の各氏に師事。数々のオペラ出演の他、リサイタルをはじめとする演奏活動を行っている。また、鳥取県内においては第九公演のソリストを務め、アザレアのまち音楽祭や山陰の名手たちコンサートなど常連演奏家として活躍。鳥取県内公演のオペラでは「電話」「コシ・ファン・トゥッテ」「フィガロの結婚」「魔笛」「ポラーノの広場」「ドン・ジョヴァンニ」「アマールと夜の訪問者」等に出演。鳥取オペラ協会の全ての公演をプロデュースしている。現在、鳥取大学地域学部附属芸術文化センター准教授。鳥取オペラ協会副会長。鳥取合唱連盟副理事長。
瀬川則子Piano
山口芸術短期大学ピアノ科卒業。中四国新人演奏会に出演。第6回TYSコンクールピアノ部門にて最優秀賞受賞。山崎孝氏、勝谷寿子氏、小林峡介氏に師事。現在、歌唱、器楽の伴奏の他、「21の会」において、ピアノデュオコンサートを定期的に行っている。日本演奏連盟会員。
ディレクターのコンサート案内
鳥取県にとって誇りうる音楽公演の一つに、オペラがあります。そのオペラ公演組織は、西岡千秋氏が鳥取大学に赴任して以来の夢でありました。そのオペラ公演組織の実現には、鳥大で西岡氏に教えを受けた学生たちが集い、夢を語らうことから出発しています。その中心が鳥取オペラの雄「山田康之氏」であり「吉田章一氏」であったのです。お二人とも西岡氏の薫陶を受け、教職に身を置きながら、演奏家としてのキャリアを積み重ね、オペラ公演の核として活躍しています。その他にも多くの声楽家を育て上げ、世に送り出している教育家としての功績は大であります。そして、何よりもご自身が現役の歌手として、演出家としての山陰のオペラ界にとってなくてはならない存在なのです。西岡氏の業績を改めて紹介するまでもなく、声楽家として望みうる最高の実力と人気を保ち続けている実績は、他の追従を許さないものです。
ところでプログラムは、前半をイタリア歌曲、後半を日本歌曲を歌っていただくことになっています。イタリア歌曲を西岡氏の輝くようなバリトンで聴く悦楽は、大理石の彫刻を目の当たりにする喜びに似ています。おおらかな人間社会の「歌うことの、歌を聴く事の」眞の意味を感覚的に感受させてくれます。まさに、イタリア歌曲の真髄を聴かせてくれます。後半は、ちょっとお洒落でシャンソンのようなエスプリの効いた日本歌曲を、西岡氏の優れた歌唱によって浩然の気にさせてくれるでしょう。