今月の執筆者

浅田 理恵子

「我が倉吉女声合唱団…夢のあとさき」

今までになく、前8月号の巻末「リレーエッセイ」に引きつけられ拝読したが、これこそ、虫の知らせというべきか。数日後合唱の練習にいくや、ふと団長さんの顔が近づき、「リレーエッセイを書いて?(笑顔)」「Yさんか、どちらか」。Yさん曰く「私は前に書いたけぇ」。聞くと締め切まで1週間。

何だか金縛りにあったみたいに引き受けてしまった。

前日のニュースで「千年に1度の猛暑」と言っていたが、この熱波のせいだ。思考停止、ボーとした頭で合唱の練習を終え帰宅する。「何を書けばええ?」「介護のことか」「うーん」「では倉女のことは?」。テーマは「倉女」と決まった。

突然ではあるが、我が倉女は、8月25日に「大阪フェスティバルホール」で歌う。「風をみた人」「貝殻節・三朝小唄」。

去る6月30日、「お母さんコーラス鳥取県大会」で全国大会出場が決定。晴舞台は新装になった大阪フェスティバルホールで、私にとっては、まさに一世一代の大舞台、ご褒美である。

関西の友人に話すと、想像以上の反響で、チケットがなかったら孫を膝に乗せてみるから、などと電話もかかってきた。チケット予約は、知人の郵便局長が振り込み用紙に必要事項を書いてくれた。そこでエールをおくられて、ますます調子に乗る。(その後チケットは、予約初日に完売したと代金が返ってきた。あの狂騒は何ぞや。)

弟が私達のCDを聴いて、「どういう基準なん?」と聞いてきた。一昨年「30周年記念コンサート」を終えた後、昨年は「合唱の祭典in徳島」に参加して、今更ながら私は「大海」を知った。そして舞台でカチカチになりながらも「声を合わせて歌う快感」を味わう。以来「美しいハーモニー」に目覚め、皆もお母さんコーラス全国大会出場が目標となった。その意気込みが買われたか。手染めの絞りTシャツとショールは、やはり昨年「徳島」でカルチャーショックを受けたというFさんの作。F・Yさんは、踊りの振り付けも習って来られ、私達は、やる気を問われた。団員の平均年齢60代後半。皆抱えるものはあるけれど、暗黙の了解、いよいよ華やぐ。蒸し風呂のような小学校の音楽室で、首に保冷剤を巻きながら、滴る汗もそのままに、目下最後の追い込み中。「口角上げてえ」「背中伸ばしてえ」「アルトさん、音が下がる!」と指揮者の先生。落ち込む私達を、ふと音に乗せてくださるのはピアノさん。入団5年、まだ音を探りながら歌っているらしい私にも、「眉間に皺がよっています!」と、先生の愛の鞭は今日も続く。

「夏蛙 声澄みわたる 星のそら」  (倉吉女声合唱団)