海外こぼれ話 149               

 

街にはカボチャが出現

 ドイツもアメリカの影響を受けてか、10月末のハローウィンのお祭りを楽しむようになってきた。アベックが手をつなぐこともアメリカの影響だと聞いたことがある。コーラやハンガーガーもドイツの生活には欠かせなくなってきている。訪問先に行くと炭酸ガス入りの水、ガスの入っていない水、そしてコーラがあり、最近は糖分ゼロのものも出されるようになった。あとは果物のジュースだが、コーラの方が断然多くなっている。最近はカロリーゼロが評判だ。

 デュッセルドルフ市内の一番日本人が多く集まるインマーマン通りに、交差する大きなオスト(東の意味)通りの賑やかい通りに、ちょっとお洒落な花屋さんがある。その店のデコレーションは、季節ごとに目を見張るようなものがあり、非常に季節感もあるので散歩する時に楽しみにしている。今回は、緑色のカボチャで飾られていた。その中にはヒョウタンとしか思えないカボチャや小さいリンゴのようなものまであり、目を楽しませてくれる。

 スーパーの野菜売り場には、お馴染みのオレンジ色のカボチャが並んでいた。食べ物を玩具にするのは、実際に畑で野菜を作ってきたので非常に抵抗がある。盆に仏様に捧げる精霊馬や牛のキュウリやナスは供え物だというので、全く抵抗はない。ドイツの田舎町にも無人野菜市場があり、小銭を箱に入れればよいが、田舎なので盗難の心配はない。畑には牧草を刈った後に直径1mくらいの筒状にしたものと積み重ねて、案山子のように組み上げて、目や口をつけて飾るところもある。案山子の由来は、鳥や獣を農作物に近づけないために、嫌な臭いを藁人形に付けたので、「かがし」となり「かかし」になったようだ。こっちはカラスなど本当に野鳥が多いが、藁人形の意味はなくただの飾りだ。

9月末は、選挙にビール祭り

9月22日の日曜日は、ドイツの統一選挙があった。即日に結果が判明し、メルケル首相の率いるキリスト民主党が勝利したのは、即刻日本でも取り上げられたようだ。選挙戦は非常に低調だった。初めから与党が勝つことが分かっていたので、野党との党首会談は全くつまらないもので、皆さんの関心は薄かった。その3週間前からドイツに来ていたが、日本でお馴染みの選挙カーやウグイス嬢の連呼、タスキなどは全くなく、ポスターが貼ってあるだけだった。

今回は今までになく、ポスターの数が少ないと通訳も話してくれたが。やはりもう結果が分かっているのでポスターを張る元気もなかったのだろう。お金もかけたくない気持ちもよく理解できる。それよりも前日の9月21日の土曜日からミュンヘンで始まった「オクトーバー・フェスト(ビールのお祭り)」が2週間の期間で始まったニュースが、ラジオで何度もアナウンスされた。

今年は180回を迎え、600万人が集まる世界一盛大なビールのお祭りでもある。1リットルの大ジョッキに7割くらいしか入っていないビールを15ユーロ以上の高い値段で売っている。一度10年くらい前に行ったことがあるが、人の多さに酔ってしまった。でも朝から夜までしっかり4リットルのビールを飲んだが、もう飲みたくないほど飲んだ。思い出したくないくらいだが、この季節になると誰もが出掛けたくなるようだ。並んで席を取るのも難しいので、行かれる方は心して事前準備されたし!旅行会社に頼んだ方が良いでしょう。

ホテルは普段の5倍にもなり、ミュンヘンのホテルの稼ぎ時でもある。そういえば今年のデュッセルドルフのデパートでは、いつにもなく南ドイツの民族衣装が売り場に展示されていた。南ドイツの人は今でもお祭りになると、民族衣装を着けて参加する。これは日本の法被みたいな感じかな?女性は胸元を大きく開けたチロルドレスとスカートにエプロン姿で、ディアンドル(元々は若い娘の意味)と呼ばれている。この姿で10数個(約30s)のジョッキを運んでくる姿は、値段が高いのもうなずける。男性は帽子を被り、半ズボンを穿く。

散歩して韓国料理店を探す

散歩はアパートから遠くても半径2km以内で3時間以内に戻るようにしている。ドイツはトイレ事情があまり良くないので、早めに切り上げる。今回は、ドイツ国内で日本人向けに配布されるフリーペーパーの「ドイツニュースダイジェスト」という2週間に一度発行されている情報誌を手に入れた。最後のページにデュッセルドルフ市内にある韓国料理店4店が掲載されていた。行ったことのある店は2軒だけで、住んでいる通りに3軒もあることにも気づいた。このために1時間半のコースで、半径500m以内で何軒の韓国料理店があるが、調査がてら散歩に出かけた。アパートの隣が行きつけの「韓国館」で、その向かいにも1軒、その先100mには「Gogi Matcha」という店があった。

スマホを頼りに検索しながら、ジグザグに道を縫うように、しかも振り子のように顔を左右に振って店探しをした。今まで見ていたことがったが、この店が韓国料理店と意識していなかった店も何軒かあった。1時間半の調査を終えたら、なんと9軒も店があった。その内食べに入ったのは、たったの3軒だった。いかに偏食していたかが分かった。そのため今日初めて「Gogi Matcha」の店に食べに行ったら、なんとウナギの寝床のように奥行のある店だった。早速ビビンバを食べたが、冷や飯でもち米も入っているようで、コチジャンが上手く絡めることがなかなかできなかった。オカズは6品あり、これはいい味付けで完食してしまった。星2つももらえるかなあ?他の店にも立ち寄って、今後も「ビビンバ」で統一して味を評価してみたい。

日本の和食店と寿司屋をどう捉えるかは、非常に困った問題だ。寿司屋は、ほとんどが日本人以外の人が経営しているので評価できない。酢の入っていない寿司もあり、ドイツ人に合わせたものになっていることで評価がしにくい。またラーメン屋さんはどうするか?これも難しい。和食だけを見ると、同じ範囲でははやり9軒だった。これも半径300mに極めて集中している。アパートの通りは、食べ物屋が非常に多く、中華、和食、韓国、イタリアなど7軒もある。しかも10年も住んでいるがまだ行ったことのない店も4軒もあり、課題はまだありそうだ。さらに別な日に散歩をしていたら、車全体に魚の絵を描いたワーゲンがあった。この車は丸っこいので、このような大胆な絵柄でも似合う。その隣にはこの界隈では珍しく、花が綺麗に植わっていた。ここを管理する人の性格が出ているようだ。普通は雑草しかなく、イヌのトイレ場所になっているが、このように綺麗にしてあれば、さすがの犬も用足しができないだろう。

スイスのホテルに

新型コーヒーメーカー

スイスのバーゼル空港から車で30分のところに1万人の田舎町Liestalに5年以上前から通っている工場がある。この前朝の駅前を通ったら、プラットホームに数百人くらいの乗客が待っていた。何とも人が多くいるのかとびっくりした。鉄道を積極的に利用しているようだ。琴浦町の浦安駅は、今はこんなことはありえない風景だ。汽車通勤や通学の利用方法で、利用促進の改善が地元でできるだろうかと一瞬考えてしまった。

いつもは山の中のホテルだが、結婚式があり満室になっていたので、街中のホテルを取った。ドイツのほぼ倍の値段になる。スイスは何でも物価が高く仕方ない。コーヒーメーカーが、ホテルに装備されていたのは意外だった。日本ではバリスタといっているようで、スイスのネスカフェ社では、自分の商標を使っているので、正式な名称は不明だが、新しい方式のコーヒーメーカーである。従来は、コーヒー豆を挽いて小さな粉にして紙のフィルターで濾すタイプである。このバリスタは、コンニャクのお菓子のような形状で、まるでミルクのフレッシュを少し大きくした形状だ。それをバリスタの穴に入れてレバーを手元に倒して穴を開けて熱い湯を流し込んでコーヒーを作る仕掛けである。使う寸前まで容器に封がしてあるので、新鮮が売り物だ。

それを初めて見たのは、4年前にオーストリアの工場に行った時だった。何をするものか全く分からず、皆さんに教えてもらいながら初めてコーヒーを飲んだことを思い出した。それ以来今回ホテルで、自分でやることになった。取扱い説明書があったが、メインスイッチが見つからず、あちこち探してみたが、説明書には書いてなく、3つ並んだはるか離れた装置のトップに小さなボタンがあった。水を用意してセットし、コーヒーの容器を穴に入れて、レバーを押し込んだ。そして3つのスイッチをいずれも押したが、うんともすんとも言わない。やがて白湯が出てきた。カップの中には、半透明の物体が数個浮いていた。観察の眼でしっかりその物体を確認すると、ボウフラと判断せざるを得ない結果を得た。なぜか?と疑問がわく。コーヒーを入れたのに、白湯とボウフラ?訳が分からないので、再度挑戦してみた。

同じ現象が再度発生し、その未確認物体が明確に分かってきただけで、一向に香しいコーヒーは出てこない。さらに別のミルクの容器を入れてみると、今度は真っ白な液体と既に確認済みの物体がまた出てきた。使い方が分からず逆にボウフラの死がいを飲まなくて済んだが、この部分に水分が溜まり清掃を全くしなかったので、蚊が産卵の適合場所と判断したのだ。あとで通訳に聞くと、彼もまったく最初は使い方が分からなかったようで、一回目にボウフラができたという。でも彼は2回目には無事コーヒーが出てきたので、美味しく飲んだという。でも私は3回挑戦しても、まだ数匹の残骸をミルクの中で発見している。同じ構造をしているので、多分彼はタンパク質を吸収したかもしれない。ホテルもそこまで気づかなかっただろうが、配置した時にもっと確認したらと思った。全て完璧そうに見えるスイス人にも欠点を発見できたことは収穫だ。

工場に行って気が付いたが、スイスはEUに属していないので、すべての輸出入に関税が発生するので手続きも面倒だという。そのために余分な仕掛在庫を持つ必要があった。欧州を行ったり来たりして気づかなかったが、スイスの出入りは他の国と一緒になったが、肝心のお金はまだスイスフランであった。工場の改善は確実に進んでいたが、本当に後戻しがないのでやりがいがある。今回は社長も何度も顔を出され、関心を持っていることを強調されていた。今回のテーマの1つ、「1個流しの生産ライン」を作るものがあった。機種によって作業時間が2倍以上もバラツキが生じていた。結果は、一気に今までの工数の半分以下でバラツキも少なくできるようになった。今回もヒントを出したら、上手く捉えてくれて予想以上の成果を得た。人はやる気で随分と違ってくるが、個々の人たちもそれを証明してくれた。

イタ飯は

店によって内容や味が違う

北ドイツの2つの工場を訪問した。P社のランチのケイタリングは、夜の接待に誘ってもらうイタリア料理店の大将が自ら持ち込んできてくれる。実に美味しいのでついつい昼ご飯だけでも食べ過ぎになり、胸やけもしないかと思うくらいだ。その店はコックからウエイターまでイタリア人なので、盛り付けも対応もイタリア式で本当に楽しくなる。イタリア人によるイタリア人のための料理と思う。接待の時に他の店でも紹介するといっているが、他の店は私の体に合わなかったので、結局毎回行き付けのこの店にしてもらっている。

もう一つイタ飯屋の話。このP社から車で2時間のところにあるF社がある。そこは以前泊まっていたホテルのレストランがドイツ料理で、その隣がイタリア料理だったが、工場までタクシーで20分もかかっていた。そのタクシー会社の事務所の人がいい加減な人で、何回も運転手に指示を忘れたことがあった。何度か遅刻しそうになった。そのため工場の近くで、歩いて数分のところにホテルを替えた。工場は目の前にあるが、正門までの距離が長い。

新しいホテルの周辺には、ドイツ料理店ばかりだった。時に数km先のレストランまで行っていたが、今回はホテルから歩いて5分のところに小さなイタ飯屋があるということで招待を受けた。店の地下は入り組んだ造りで、招待してくれた改善担当の女性が、10年前はこの店はディスコで良く踊っていたという。よく見るとウエイトレスも店の大将もドイツ人だ。出てきた料理は、大雑把でちょっとガサツな盛り付けであったが、大漁船のように大盛りだ。

肝心の味は旨味が少し足らなかった。何かが違うみたいで、ちょっとした材料や香辛料などかもしれない。例えばメロンは熟していないので、甘みがなくおまけに堅かった。せっかくの良いハムの塩加減と合わなく、塩味が勝ってしまっていた。この辺りや工場内にイタリア人は見かけないので、これはドイツ人によるドイツ人のためのイタリ料理ではないかと思った。一週間の内に続けて同じ料理を頂く機会があったお蔭で、気づいたことだった。

新しい会社で

目からウロコが落ちた

今回で2回目という新しい工場に訪問することになった。予備診断を入れると3回目になる。南ドイツのバイエルン地方の山に囲まれた盆地にあるCalw(カウフ)というノーベル文学賞を取ったヘルマン・ヘッセの故郷でもある。このホテルには、ヘルマン・ヘッセ自身の描いた水彩画などが多く展示されている。名誉村民のようだ。この訪問先の工場は歴史が古く100年になるそうで、以前は絵画を引っ掛けるフックを作る非常に有名な会社であった。今は自動車部品、洗濯機や冷蔵庫の部品などを生産している。数年前に別なコンサルタントが入っていて、かなり改善をしたが最近思ったほどよくならないことが分かって、この会社の外部取締役のSさんから、私を紹介してもらった経緯があった。

ドイツは好景気で6月は繁忙期などがあり、今回に延期になったが、今回も多忙だということで人を集めることが出来なかったようだ。ところが最初の1時間の講義が終わった時に、「不味いことになった。」と私を呼んでくれた担当者が口にした。「何?」と訊ねたら、「計画を間違えた。こんな重要なことは、多くの人を集めなければダメだ。」といいすぐに休憩をして、その間に多くの人を急きょ集めて、日程も変更してワークショップに取り組むことになった。

急造のチームもあったが、どのチームも予定以上の結果を出すことができた。何よりもビックリしたのは、参加したオペレータの皆さん自身だった。目からウロコが落ちたようで、嬉々とした顔になっていた。今まで仕事が完璧だと思っていたようで、改善することはもうないと思っていたらしい。しかしこのワークショップの機会を得て、今まで全く見えなかったムダを多く発見し、また短時間で多くの実施もできたことで自信もついたようだ。しかもほとんどコストをかけなかったので、さらにビックリされていた。

田舎町の散歩

散歩をしていると村の中心に川が流れており、勢いのよい水の音が聞こえる。橋の欄干には色とりどりの花が植えられて、目を和ませてくれる。晩御飯までに時間があったので、ゆっくりと散策する。出会った人には「グリュース・ゴット(南ドイツ特有の挨拶で、朝昼夕方までほぼ一日使える便利な挨拶言葉、ゴットは神のこと)」と声をかければ、皆さんがニコッとして挨拶を返してくれる。こんな田舎に日本人がいて、しかも南ドイツの挨拶をするので、少々ビックリと嬉しさで挨拶を返してくれる。気分も良くなり、少し遠回りになったが、面白い花壇が庭にあるのを見に行った。空飛ぶ車が花壇になっている。銀河鉄道とはいかないが、目も心も和む花壇には間違いがない。ということで写真を撮ってきた。

さらに歩いていると大きな教会らしき建物があったが、それは修道院であった。既に廃墟になってしまっているが、数百年の歴史を感じる。城壁が一部壊れているが、その周囲は青々とした草が茂っており、石の壁と妙にマッチする。

最近はデジカメよりもスマホが便利になり、風景はスマホで撮影して、そのままフェイスブックにも送信が簡単にできる。デジカメは一度パソコンにデータを保存しての処理になるので、会社での保管用の写真に限定される。デジカメもこの10年で様相が激変してきた。当時はデジカメのデータはフロッピーディスクで、カラー写真で8枚くらいしか保存が出来なかったので、すぐにパソコンにダウンロードしていた。でもフィルムから印画紙に写真を作るよりも素早くできたので画期的だったが、今では笑い話のようだ。メモリーをちょっと増やせば、簡単にビデオも十分に撮影できるようになってきている。文明に流されるもの、そうでないものがあることをこの村で撮影しながらふっと感じた。