今月の執筆者

松田洋子

将来の夢は?

 テレビのコマーシャルの一場面。父娘の会話で、

父「おまえの将来の夢は何だ」

娘「お父さんのような建築家になることかな。」

娘「お父さんの将来の夢は?」

父「将来たってもう・・・・」

と口ごもってしまう。

 父親はたぶん五十代のようだが、その世代でさえも将来を考えないといけない超高齢化社会が現実にやってくる。心の準備をしておきなさいとばかりに、最近の報道には、高齢者問題が多く取り上げられている。認知症高齢者が五百万人を超え予備軍も四〇〇万人いるそうだ。「私は大丈夫。」なんて言っていられない状況だ。豪華客船で世界一周の夢もいいが、現実的に自分の近い将来について考えるべき時が来ていると思う。

 平均寿命に対して最近よく出されるのが健康寿命だ。つまり、人の世話にならないでいくつまで元気で生活できるかということ。平均寿命と健康寿命の差が女性では九歳ぐらいあるらしく、この差をできるだけ縮めるためには、今からの心がけが大事なのは言うまでもない。

『体を鍛え、脳を鍛える。』歌を歌うことはとてよいトレーニングになる。発声前には筋トレをする。決して若くない体はなかなか思うようには動かないが精一杯頑張る。歌詞を必死に覚える。笑顔になると免疫力が上がるそうで、口角を上げるように心がける。きれいなハーモニーを聞いているだけで右脳が鍛えられているなと思う。好きでやっていることが健康づくりにも繋がると思えば言うことなしだ。『人との関わりを多く持つ。』コーラスの活動もそうだが、世代を超えていろいろな人と交流することはとても大事だ。地域で自分にできることをしようと「生き生きサロン」に関わっている。高齢者の閉じこもりをなくすことが目的だが、運営する側も一緒にわいわいと楽しんでいる。何をしようかあれこれ考え、ゲームで大笑いする。健康寿命を延ばす最適な活動だろう。この活動をしていてうれしいことは、一緒に活動する仲間がいることだ。みんなそれぞれに技を持っていて大いに刺激をうけることもよいことだが、同じ目標を持っている人たちと繋がりあっていけることが心強い。人は人に支えられて人になるというが、元気でいるためには人との関わりは欠かせない。

 遠い将来の夢とはいかないが、小さな目標を持って生活することが大事だと思っている。(ザ・ラニアルコーラス)