海外こぼれ話 154             

ドイツは200年ぶりの暖冬

 ドイツ大手某新聞の朝刊で2月20日付けの一面に、「もう冬は来ない!今年は200年ぶりの暖冬だった!」と書いてあった。この時期にドイツの気象庁は、寒波が来ないことを宣言したのは、いつも勇気のない気象庁でも異例中の異例の発表でもあった。それくらい今回の冬は、恐ろしいくらい暖かく雪も降らなかった。気象観測して統計を取るようになったのは、この100年くらいらしいので、200年というはなんとも眉唾的な数値でありそうだが、生き証人はいないので問題はない表現だ。

アウトバーンや道には例年雪が降ると、凍結防止のために大量の塩を撒く。塩撒き専用の大型トラックが、農薬散布のように塩を撒いている。今年はほとんど撒かなくても良かったので、大幅に予算が余っているようだ。ドイツ車がさびにくいのは、このように大量の塩を撒くので、防錆処理が非常にしっかりしている。隣のフランス車はこの辺がいい加減なモノづくりになっているので、すぐに錆びると評判が悪い。逆に雪がなかったせいか、道路工事が多くの場所で行われていた。道路工事が多いということは、ドイツ経済が非常に活性化していることの反映でもある。土地が平らでしかも安いので、どんどんとアウトバーンの道幅を広げている。

通訳の家の周り(デュッセルドルフから40kmのところ)にも例年には多くの塩を撒くが、今年は昨年に買った塩が残ったままだったという。ドイツは家の周りの道路が凍結して、人が転んだとなるとその家の責任になるそうで、いつも綺麗にしておくという。デュッセルドルフは、1月に1回だけしか雪が降らなく、2月も非常に暖かかった。陽が当たると窓を開けないと、暑くて仕方ない日もあった。

北ドイツのハンブルクからメルヘン街道のあるハーメルンにレンタカーで移動する時に、なんと畑には菜の花が咲き乱れていたのを発見した。一ヶ所ではなく至るところに咲いていた。ドイツでこの時期に菜の花を見た記憶は、思い出せないくらい異常気象だ。ハーメルンまでの250kmの移動距離は、2時間半とカーナビに表示される。最近はこの精度が非常に良くなってきたこともだが、カーナビの表現も非常に滑らかになってきている。

アウトバーンに乗れば、1時間で100kmの走行時間と距離が程計算できる。ハーメルンからデュッセルドルフまでも260kmだったので、2時間半でアパートに到着することができたが、本当にドイツは車社会である。ドイツのレンタカーは自動車会社の系列でなく、色々な車のメーカーの車種に乗ることができるので、各社の新車を比較するにも楽しみの一つでもある。時にはおろしたての新車で、最初のお客さんになったことも何度かあったが気分はよいものだ。

ドイツの

オリンピックの関心事

 2月の訪独は、ちょうどソチ冬季オリンピックとかち合ってしまった。ドイツの新聞の一面にもオリンピック以外の報道であった。フィギュアスケートの浅田真央選手のショートプログラムで、転倒して予想外の16位だったと報道された。その翌日には、フリーの演技で過去最高の点数で大きく賞賛され、日本中が感動の涙を流したと気になる報道があり、フェイスブックにもたくさんの書き込みも見られた。結局映像はまったく見ることができず、インターネットで写真の報道のみであり、その瞬間を共有できなく残念だ。

ドイツではアイススケートにはまったく興味がないようで、まったく話題になくスキーやジャンプなど金メダルが取れるかどうかの興味が一番のようであった。連日金メダルの獲得に、大いに各訪問企業でも話題になっていた。金メダルの獲得数が1位になっていたお蔭があってか、ワークショップの結果が今まで以上に盛り上がり、良い成果が出た。途中金メダル数を8個まで獲得して1位だったが、ノルウェーに抜かれると皆さんが肩を落としていた。ドイツも日本も金メダルの獲得数の多い順番で掲載されるが、米国は金銀銅のメダルの合計数の多い順番に掲載すると聞いた。理由は何でも良く、とにかく一番になる方法をいつも考えている米国の一端を垣間見た。

いつもレッドカード、イエローカードというサッカーの警告カードを持っていくが、今回はオリンピックが開催されているので、金銀銅の3枚の丸いアルミ製の色付きのカードを持参した。今回はどの企業も非常に良い取り組みになり、金メダル級の成果が出た。雰囲気とは見えないものだが、感じ取ることができる。その感じを共感というようにまとめていくと、チームワークがもの凄く良くなり、結果も良くなることがあり、今回はオリンピックと同調したようで非常に嬉しかった。成果発表で思わず、嬉し涙が出たほどであった。

またまた

怒(ど)イツにようこそ

ハンブルクにドイツ鉄道で移動する時に、いつも使う電車と違う電車になっていた。デュッセルドルフ駅では北に向かう特急列車は、17番と18番ホームになっている。今回は7番ホームになると通訳から連絡があった。17番と違うかと問合せすると、7番で間違いないという。ホームに上がってみると、その7番ホームは、北に向かうローカル線だった。1日に1本だけ特急が発着する珍しいホームであった。電車(先頭の機関車)に、順番に1号車から12台の客車が連なっていると駅のホームの表示があったので、最後尾の12号車(唯一の1等車)にリザーブしたので、ホームの一番後ろで待機していた。

電車がホームに入ってくると、12号車は一番先頭に取り付けられていた。200m先まで走って移動する派目になった。最近統計は正確に取っていないが、この手の間違いが増えた気がする。日本では新聞沙汰だが、こちらでは日常茶飯事なので、「はっはっは。(ケセラセラ)」で終りとなる。利益を出すために、ドイツ鉄道が省人化を行っているのが良くわかる。日本の北の鉄道会社も同じようなことをやっているが、サービスということを忘れては非常に困る。

ハーメルンの4つ星のホテルに泊まった。いつも利用しているので、フロントの女性から、「今日は部屋をグレードアップしましたので、お楽しみください。」と笑顔で鍵を渡してくれた。314号室に入ると、ベッドの隣にトランクが置いてあった。さらに見渡すと、カーディガンが椅子に掛けてあった。通訳にこれは問題だと伝えた。とりあえず通訳の部屋304号室に移動した。ここにはトランクがなくホッとした。通訳は部屋の切り替えを頼むために、フロントに向かった。フロントは宿泊施設とは離れているので、少々手間である。

304号の部屋に入り、電気を点けて見る。点灯OK。コートと上着をタンスに入れようとすると、今度はタンスの中にトランクが入っていた。先客は荷物を置いて食事に出かけたようだ。慌てて私もフロントに向かった。宿泊予約表には、確かに314号室と記載されていた。しかし別なフロントの担当者が間違えて、その2つの部屋の客に渡してしまったようだ。この辺のええ加減なところに、「お・も・て・な・し」の心を日本から輸出したいくらいだ。この時のフロントの女性の対応は、ニコッとして舌を出しただけで謝罪の言葉も態度も全く見せなかった。サービスという単語がないドイツ社会は、非常に寂しく頭にくることがしばしばある。立て続けにこのようなことがあると、「どいつもこいつも」と怒りの怒(ど)イツになってしまう。

急いで部屋を替わったが、慌てていたので304号室の電気は点けっぱなし、タンスの扉も多分開けたままになっていたかもしれない。その客は、びっくりしたかもしれない。替わった部屋は、201号室という一番端っこの部屋であった。端っこなので、窓が余分にあり見渡しはよい。部屋も304号室より広いが寒い。暖冬とは言えこのホテルは、30年前までは刑務所であったのでよく冷える。時折ガタンゴトンと音がするかと思ったら、エレベーターが隣接していた。このため壁が共振してスピーカーのように良く響いた。これは刑務所の亡霊の仕業か?それとも気のせいか?

洗面したあと、洗面化粧台を見ると先ほどの水が溜まったままだった。排水用のフタが動かなくなっていた。化粧台の下を探ってみたが、うんともすんとも動かない。仕方ないので、そのままにしておいた。

掃除のオバサンは気づくだろうか?絶対に気づかないというより、気づいても何もしない。こちらがフロントに言っても、言うことを聞かないのが普通(責任を取りたくない、関わりたくない、というのが根本にある)なので、ましてや清掃婦はあり得ない。夕方に帰ってみると、綺麗にはしてあったが修理はしてなかった。ドイツにようこそ。

鏡でできた

大ネズミの鏡の枚数は?

このホテルには、ハーメルンの童話に出てくるネズミの象徴物が置いてある。(写真を参照)高さ約120cm、胴回りというより横幅が30cmもある大ネズミだ。このネズミは小さくカットした鏡で、貼り付けして造られている。さて問題ですが、「この大ネズミを作るために貼り付けしてある鏡は何枚あるでしょうか?」これはコンサルをしている時にも使う手法の一つで、一見全く想像もできないことを少しの情報で推定するものである。

高さと胴回りで大きさが分かるので、表面積が計算できる。単純化するために茶筒のイメージをする。また鏡の大きさもおよその見当がつき、3cm角から4cm角のものがほとんどなので、多い3cm角のモノを基準にする。茶筒に見立てた表面積は、約4万㎠。1つの鏡の面積は、3×3=9㎠。4万÷94千5百枚となる。実際には、3千から5千枚の間の数で製作されていると推定できる。これはフェミル推定と呼ばれ、正確な計算ではなく大まかな「概算」を推定するのに使われる。ホテルで待ち合わせしている間の暇つぶしに、ちょっと計算してみました。

デンマーク人と

初めて仕事をした

北ドイツの某企業が、ある工程をデンマークにある協力工場に出したことにより色々な課題が明確になってきた。このためにその工場から責任者2人も参加して一緒になって課題解決のワークショップを行うことになった。デンマークには遊びで行ったことがあるが、デンマーク人と仕事をするのは初めてだった。外見は、ドイツ人と変わりなかった。言葉はデンマーク語で話をするのかと聞いてみると、普通の場合はドイツ語で対応するという。デンマークは小さな国(500万人)なので、各国との貿易が前提になっているので、ほとんどの人が英語もできるという。

2人も非常に紳士的で、共通の課題にも親身になって取り組み期待以上の成果を得ることができた。夜は一緒に工場の近くのステーキハウスに行った。合計9人の参加があり大いに賑わった。ビールを頼むと半分の人は、ノンアルコールだった。しかし飲んで食べて、話をしていくと人は親しくなっていくものだ。デンマークには有名なビールメーカーがあるが、私には淡泊過ぎる。しかもレストランで飲むと、ドイツの2倍もするという。美味しいものにはお金を払っても意味があるが、不味いものには一銭でも払いたくないものだ。

最近ドイツを始め欧州では、飲酒運転の規制が厳しくなっている。飲酒運転してもあまりとがめられないが、飲酒運転で事故をしたら保険がきかないので皆さんが守っている。またどのレストランでも禁煙が厳重に守られているが、日本の居酒屋はまだ喫煙になっていることが多いのは不思議だ。

ドイツの大卒の企業研修

F社の改善コーディネーターは、女性のAさんは大卒である。ドイツの大学は普通4年間で、さらに企業に1年間実習という形で研修期間があり、合計短くて5年で卒業できる。ほとんどの人が5年以上も通っているのは、学生気分で居心地が良いからだろう。しかし同じ単位を3回落としたらその時点で、即退学になるという。お情けはないそうだ。

Aさんも研修期間は、F社に来ていてそのまま就職した。いきなり改善担当のコーディネーターになって、年上の人たちを説得してきた貴重な体験を非常に上手くこなし、3年目には完全に任されている。今年はさらに勉強して、修士の資格を取ると言っていた。就職しながら近くの学校に1年半通うというが、資格を持っていると給料も上がるので動機付けになる。このような形態は実に多く、マイスターの制度もこのようになっている。 

日本は就活をして、いきなりその企業に勤めるから実務なしのため、戸惑いが多く3年で30%以上の人が転職を重ねている。ドイツではこのように1年間実際に企業で勤めて、レポートを提出して合格して卒業できるようになっている。このため事前に企業の厳しさなども自分で経験できるので、嫌になって辞める話はあまり聞いたことがない。

Aさんの後釜に、W君が今月から改善コーディネーターのアシスタントをするというので、一緒に巡回することになった。コンサルタントのモノの見方や考え方を少しずつ紹介していった。企業も研修期間中に学生を観察して、出来の良い学生にアプローチして、お互いが良い関係を築いている。

料理を挑戦して減量も

この40年間体重が増えるばかりで、何度も繰り返していたダイエットに、この半年間でようやく成果が見え始めた。ちなみに禁煙は26年かかった。還暦を迎えるに当たり、本気モードになってきたというより、そうせざるを得なくなってきた。このまま血圧の薬を飲み続けるには、ある意味毒を体に入れ続けて生きることとなり、余り賢くない。少し、意識が働いてきたのかもしれない。

5s、6sと減ってくると、ズボンがガボガボになり、Yシャツの第一ボタンが掛けることもできるようになった。肝心の血圧も非常に安定してきた。最終目標は、血圧を下げる薬を必要としない体に改造することである。このために食に関する取り組みも違ってきた。ある雑誌の毎月「何でも食べてみまショー」というコラムを4年間書き綴ってきたので、自分で料理することを覚えた。自宅の厨房では奥さんがいるので肩身が狭い。

デュッセルドルフのアパートでは、それまで野菜炒めと焼きそばくらいしか作らなかった。鍋もあったが、ほとんどフライパンだけだった。原稿のお蔭でこのアパートの小さな厨房で、料理を作ることが楽しくなってきた。原稿を書くために、「モヤシ」は週末に半年間掛けて、あれこれ料理をした。失敗も多くあったが、その失敗も次への挑戦の意欲となっていった。収集した調味料は、20を超える。使いこなしは別問題で、まず準備することの楽しみを覚えた。

最近特に挑戦している料理は筑前煮で、北九州地方では「ガメ煮(色々と混ぜるの意味)」という。これもコラムを書くために、10種類ほどのレシピで挑戦してみた。現在は3つに絞って、美味しく、手早く、簡単にできるレシピを微調整している。このことより食に対する意識が随分と変わってきた。また炭水化物は、夜ほとんど摂取しなく、最初に野菜を食べてお腹を膨らませるなど試している。今年の減量の目標を達成できるか、自分自身への挑戦も楽しみだ。

ドイツの朝食で

嬉しい目玉焼き

ドイツのホテルの朝食はパンである。これも以前より少なく摂取することにしているが、焼きたてのパンの匂いに負けてしまうことがある。特にクロワッサンには弱い。ヨーグルトに果物と紅茶だけといいたいが、肉やハムが美味しく誘惑に負けることが多々ある。パンにつけるバターやマーガリン以外にチョコレートやジャムも色々あるが、これらは甘過ぎて口に入らない。

また目玉焼きも誘惑の一つである。こちらでは熱々の卵は、暖かいご飯や味噌汁に相当する。小さなホテルのレストランでは、毎日担当のウエイトレス自身が目玉焼きを作ってくれる。そのために焼き方やちょっとした飾りつけも違う。今回は、主婦と思われるウエイトレスが笑顔ともに綺麗に焼いた目玉焼きを作ってくれた。皿の外周には、小さなフィールドサラダ(畑の葉っぱ)が飾られていたが、とても可愛くて思わず写真を撮ってしまった。