今月の執筆者

生田静子

文才がないのに…

「倉文協だよりに何か書いてみないな」と言われた。はあ?誰が?私が?私が書くんですか?どこやらで「水彩画について書いてみたら」と言われる御仁の声がする。すぐそばでは、「締切が近いから今夜じっくり考えて」と、おっしゃる人の声がする。

うーん、そうだなあ…一晩じっくり考えて絞り出せば、私にも何か書くことがあるかもしれない。だが、布団に入って目を開ければ既に外は明るくなっていた。いったい何を書けばよいのやら。私は水彩画を描いているが、絵に対して深い知識も思い入れも持っていないので、書くべき事項が見つからない。

そんなこんなと思いつつ「大栄の道の駅」のモーニングバイキングに出かけた。ワンコインで飲み放題、食べ放題のお得感に惹かれて、時折出かけるのだが、ここにはもう一つの楽しみがある。私の水彩画の恩師「堀充彰先生」の絵が飾ってあるのだ。見る都度に思わず見入ってしまう。このレースの繊細さ、器の柄の表現の旨さ、「やっぱり先生の絵は凄いなぁ」と、思いつつ「これを描くとき、先生は本当に楽しかったんだろうなあ」と想像がふくらむ。おかげで、お腹もふくらみ、想像もふくらめど、やはり書くことなど何も思いつかない。「先生、私には文才がないから無理です」というと、「文才がないのはわかっとるわいな。普段しゃべっとんなるような調子で書きならええだが」との返事。フムフム、なるほど…そうなのか!!という訳で、これを書いてみた。