今月の執筆者
吉田紀子
鳥取県大会で金賞を目指す
思いがけず、原稿の依頼を受け、何を書こうかと思案しましたが、毎年慌ただしく過ぎていく日々を少し振り返ることにしました。
明倫小学校に赴任し、合唱団の担当になってもうすぐ5年が終わろうとしています。その間、毎年の様に、「アザレアのまち音楽祭」ファイナルコンサートに出場させていただいています。
明倫小学校合唱団は、毎年、4月に新しいメンバーを加え活動をスタートさせます。基本は、昼休憩の短い時間を使って発声練習をしていきますので、給食を食べるのが遅い2年生などは大変だと思います。でも、「歌いたい。」「合唱したい。」と思って入部した子どもたちは目を輝かせて音楽室へとやってきます。
中には、たくさんの習い事や他の課外活動との両立に悩み、泣く泣く退部していく子もいますが、多くの児童は時間をやりくりして活動しています。
合唱団のいちばん大きな目標は、NHK全国学校音楽コンクールに出場し、鳥取県大会で金賞を取ること、そして、広島県で行われる中国ブロックコンクールに出場することです。そのため、4月からコンクールに向けて課題曲や自由曲を練習していきます。
昼休憩の短い時間では練習が進まないので、一学期はほぼ毎週土曜日に練習をします。土曜日は、二時間程度練習できるので、発声練習の他にも、腹筋を鍛えたり、鏡で歌う姿をチェックしたり、パート練習をしたり合唱練習をしたりと充実した内容で活動します。
そんな中で迎えるアザレアのまち音楽祭のファイナルコンサートは、未来中心という大きなステージに立ち、4月からの三ヶ月間の練習の成果を披露できる大切な場所となっています。特に、初めて合唱団に入部した子どもたちにとっては、初の大舞台なので緊張も人一倍だと思いますが、とてもよい経験をさせていただいていると感じています。ファイナルコンサートに出演して得たものを、Nコンに向けて再確認できるため、ステップアップの一つになっていると感じます。
合唱コンクール出場の後は、地域の公民館祭りや、地域の施設でステージ出演したり、校内音楽会のステージに向けて練習したりします。
2月には、一年間のまとめとして、音楽室でミニコンサートを開いています。
私自身は、縁あって合唱団に関わることになり、前任校から数えると10年近くが経ちました。
大変なことや悩んでしまうこともたくさんありますが、子どもたちが楽しそうに歌う姿、「先生、今日合唱の練習がありますか?」とうれしそうに尋ねてくる姿、学年を追うごとに響きのある歌声で合唱を支えることができるようになる姿などに支えられて今日に至っています。
特に、今年度は六年生が十人もいましたので、歌詞に込められた気持ちを考えたり、伴奏の意味を考えたりすることも十分にでき、難しい自由曲にも挑戦し、充実した一年間を過ごすことができました。
子どもたちは、ずっと合唱を続ける子ばかりではないでしょうが、友だちとハーモニーを重ねる楽しさ、みんなで何度も練習し作り上げる合唱の達成感を、人生のふとした瞬間に思い出してくれたらうれしいなと感じるこの頃です。(明倫小学校合唱団指導者)