リレーエッセー 2016.1

今島尚子

介護生活の支え  

私は、数年前から、要介護三と二の両親の介護をしています。三度の食事の準備、片づけ、掃除、洗濯、買い物等の身の回りの世話と通院補助が主な内容で、毎日、自宅から実家に通って続けています。実の両親と言えども、介護生活は、正直言って多少のストレスが溜まります。でも、私には、そのストレスを軽減させてくれる大きな支えがあります。

その一つは、家族の存在です。幸いなことに、私一人だけではなく、実姉と時間をやりくりして交代しながら、協力して介護にあたっています。時間的な助けはもちろんのこと、その日の両親の様子を互いに報告し合い、共感し合うことで、気持ちが随分楽になっていると思います。姉の明るい性格にも助けられて、ストレスを笑いに変えています。

また、夫の協力も大きいです。半分は諦めもあると思いますが、食器洗い、洗濯物干し、ごみ出し等、私の自宅での家事の不十分なところを、夫は、自ら進んでカバーしてくれています。これが一人だけでの介護だったら、とっくに音をあげていたことでしょう。家族の協力に心から感謝しています。

二つめは、福祉の力です。「他人の世話になるやあなら、死んだ方がええ。」と頑なに介護サービスを拒み続けていた両親ですが、なんとか説得して、三年前からサービスを受けるようになりました。週二回のデイケア施設通所や昼食の宅配、車椅子や介護用ベッドの貸し出し等、ケアマネージャーさんに相談してお知恵を借りながら、各種サービスを利用しています。両親の閉じこもり生活からの脱却と介護負担の軽減につながり、本当にありがたく思います。

もう一つの支えは、趣味の時間です。姉と交代してできた時間や両親の出かけている時間を使って、ヨガ、水泳、小学校での絵本の読み聞かせ、合唱等に取り組んでいます。サークルや教室の仲間と共に体を動かしたり、歌を歌ったり、会話を楽しんだりすることで、肩の力がぬけ、ストレスの解消になっています。

介護が必要とはいえ、両親が長生きをしてくれていることは、ありがたいことです。間に合うという幸せの中で、介護という形で自分なりの親孝行ができることに感謝しながら、これからもがんばっていきたいと思います。(混声合唱絵団みお)