リレーエッセー7月

「土手いっぱいに花を!」

竹中良子

道端で、庭先で、街で、花はいつも身近に咲いていて、季節を告げ、自然の思いを語りかけてきます。今年は、打吹公園の桜をはじめ、街中の桜が、暖冬のお陰でしょうか、見事に花咲かせ、私達にほほえみかけ、喜びを与えてくれました。季節が動けば、心も動く、と沢山の出逢いを、花が連れて来てくれた思いでいっぱいです。

また車でしばらく走ると、あちこち何処でも、黄色い水仙が、気品のある凛とした姿形で群れを作って咲いているのに出会います。私事ですが、道路拡張のため、小鴨川の土手沿いに転宅し、1年が経ちました。毎日の様に、土手を眺め、土手に上がり、沢山のひとびとが、散歩を楽しんでいる姿や、大自然に接し寂しかった気持ちも、すぐ忘れることができるようになりました。先日のことです。私の家の前の土手に、水仙の株が、一株、二株、三株と生えていて、しかも、一株には,蕾がついていることを発見しました。そのときの私の心に、初めて花と出あったときのやさしい驚きと、みずみずしい喜びがよみがえった気持ちでした。(残念なことに二日後には、摘み取られていました。)

ふと、季節が訪れると、新聞、テレビ等で告げられる福井の越前海岸、伊豆の爪木崎等群生している水仙のことをおもいだします。年に二度程、土手一面に延びた草がきれいに刈り取られます。水仙の球根と出会いのあるたびに植えてみよう、夢がふくらむ思いでいっぱいです。春と共に気品のある香りを漂わせ、土手いっぱいに水仙の花が凛と咲き、秋には、コスモスが可憐に咲き、ススキが静かに風を呼び、四季折々に花を通して喜びをうたい、夢をえがき、詩をつづる、花と人とがさまざまに共鳴し合い語り合う、こんな日々を楽しめたら幸せだなあーと思っています。