「気功入門」のすすめ(その2)                杉井満喜子

 

        

気功は力を入れずにゆったりと動作をつないでいくだけですが、とても気持ちのいい運動です。それは体や脳がほぐれていくからだといわれています。

        

 ごく一般的にいうと、運動にはある程度の激しさが伴います。その結果として体が改善されたり、相手にまさる身体能力がついてきます。ところが、気功は体を動かしても緩んでいくのでその逆です。身体能力を相手を相定する方向にではなく、自分を養生する方向へ高めるのです。

(治療気功などの例外はあります。)

        

 気功は動作から入りますが、その前に「沈肩墜肘」といって、肩や肘をゆるめて立つ姿勢を覚えます。これは身体構造の肩のもつ意味を教えるもので、体幹をみつけるための基本的な立ち姿勢です。

 姿勢はまた、形でもあります。「道」の世界全般に通じることですが、姿勢・形・動作の正しさがやがて呼吸を発見させるのです。呼吸が深まればおのずと脳は調い、精神が落ち着くのは納得のいく話です。

        

 気功は自分を観ることを要求します。自分と対話することと言いかえても良いかもしれません。

 これは「人間の身体は宇宙が集約されている」と、とらえる気功のもつ世界観からきています。

 練功によって、流動的に変化する「内なる自己」を観る習慣ができると「外なる他者」とうまく関わることのできる柔軟な身体や考え方が身についてくるのです。

 こうなると、気功は運動というより「身体養生技法」というほうがより的確ですし、実際そういわれています。

        

 気功の「気」は目に見えません。取り出すこともできません。科学的に数値化して実証しにくいために長い間、運動界から軽視されていましたが、二〇〇七年に第一回国際筋膜研究学術大会がハーバード大学で開かれ、筋膜を「身体全体にわたる張力ネットワーク」として解釈されると、気功を筋膜リリースとして説明できる時代になってきました。

 激しい運動が苦手な方だけでなく、スポーツ選手の方にも運動能力を高める一つの方法として気功をおすすめすることができます。

 倉吉文化活動センターでやっています。どうぞのぞきにおいで下さい。