日本帰省旅行
4月の黄金週間の少し前から5月の中頃まで、米国人の夫と日本帰省旅行をした。NY在住の頃は往路は約14時間、復路は約12時間半でノンストップ直行便で成田まで往復できたが、フロリダに転居してからは米国内のどこかで一度乗り換えないと成田にたどり着けない。私はフロリダからNY経由、ダラス経由、ヒューストン経由、ロサンゼルス経由をこれまでに使ったことがある。
私一人ならヒューストン経由かダラス経由を選ぶ。乗り換えの待ち時間も含めて極めて長時間のフライトになるが、米国内線のフライトが2時間位で短いので疲れ方がましなのだ。ロサンゼルス・フロリダ間は5−6時間かかって、その日のうちに連続して飛ぶのは疲れる。
夫は循環器系の持病があるのでいっきに長いフライトは望ましくない。米国内の乗り換え時に空港近くのホテルで一泊することにして、今回はロサンゼルス経由を選んだ。ロサンゼルス便は西海岸発なので航空運賃が安い。夫はエコノミー症候群になるといけないので日本行きの時はいつもビジネスクラスに乗せる。夫婦二人でビジネスクラスに乗るとものすごくお金がかかる。ロサンゼルス発なら一人3千ドル台でビジネスクラスが買えるがNY発やヒューストン発だと5千ドル台かかる。だからロサンゼルスで一泊してもずっと安あがりなのだ。ちなみに今回は夫の分はビジネスクラスの航空券を買ったが、私はマイレージを使ってビジネスクラスの無料航空券で飛んだ。
成田に着いてエアポートリムジンバスで羽田に移動。羽田の国際ターミナルにあるホテルに一泊して翌朝沖縄へ。羽田の国際ターミナルに行ったのは初めてで思ったより大きくてびっくり。夫は海外旅行保険に入ってなかったので、東京海上日動保険のJapan Travel Insurance Tokio Omotenashi Policy(外国人が日本に入国してから加入できる海外旅行保険で日本滞在中有効)をネットで買った。
沖縄は3度目だ。那覇空港に着くと以前にも使ったことのある観光タクシーで、あらかじめ予約していた運転手さんが待っていた。名護の少し南にあるスパ・リゾート・エグゼスに3泊。初日は雲が厚くて天気はいまいちだったが翌日は快晴で青い空、コバルトブルーと深い青さのグラデーションのあるすばらしく美しい海が目の前に広がった。ビーチに出て足を水につけてみる。水が透き通っていて足先がはっきり見える。
フロリダにもビーチはたくさんあるのだが、うちの近くのビーチにはサンゴ礁はないのでこんなに海水は透き通ってはいない。大学1年の頃、生まれて初めてハワイに行った時、海水が透き通っていてとてもびっくりした時と同じ感動を毎回沖縄の海で感じる。それを知るまでは海の水は濁ってて足先なんて見えないのが当たり前と思っていたから。
沖縄でゆっくりしてから、長崎へ国内線で飛んだ。夫が長崎市で体調をくずしたのでその後行くつもりだったハウステンボスはキャンセルして実家のある広島へ移動。サービス付高齢者住宅に住む母が実家に戻ってきて一緒に数日間過ごす。夫は広島のお好み焼きが大好きで、繁華街にある「お好み村」(お好み焼き屋ばかり何軒も入ったビル)でお好み焼きを食べた。入った店はなんと8割が外国人客だった。「お好み村」には外国人客がぱらぱらいることはあっても普通はそんなにいない。たまたまのタイミングだったのだろう。オーストラリアから来たとか、米国のシアトルから来たとか言っていた。そもそも「お好み村」に行くのは観光客で地元の人は普通は近くのお好み焼き屋に行く。
広島の次は神戸に行った。去年泊まったホテル・ラ・スイート神戸ハーバーランドがとても気に入って今回は2泊した。ここはすべての部屋がオーシャンビューのテラス付で部屋がとても広くて豪華で品が良い。部屋からもバスルームのジャグジーからも見える神戸港の夜景が素晴らしい。夫は神戸ビーフを楽しみにしていた。三宮にあるステーキランド神戸店に行って本物の神戸牛を鉄板で食べた。あまりにおいしかったので夫は翌日ももう一度行きたいと言うので同じ店にまた行って神戸牛を二夜連続で食べた。
神戸の中華街には昼間に行って神戸コロッケ、餃子、小龍包などを露店で買って食べた。ハーバーランドのモザイクというショッピングセンターの中にある神戸の菓子店フランツを通りがかり、乾燥イチゴをホワイトチョコでくるんだお菓子があまりにおいしそうだったのでそれをお土産に買った。そして名物の壺プリンを買ってそれはホテルの部屋で食べた。とてもおいしかった。フランツという店は知らなかったが有名な洋菓子店で品が良くてすっかり気に入った。
それから東京に移動。最初の三泊は錦糸町にある東武ホテルレバント東京に泊まり、最後の2泊はホテルニューオータニ東京に泊まった。夫は秋葉原の大型電気店が好きでそこで毎回あまり高くはないがかっこいい腕時計を買う。そんないい感じのは米国で売ってないし気軽に使えるので好きらしい。それから銀座の有名な文房具店伊東屋で夫はボールペン、鉛筆、消しゴムなどを買った。前回買ったものが品質が良かったのでまた買ったのだ。それから夫がお気に入りのモスバーガーを探して行った。私はテリヤキバーガーが好きで、夫はダブルチーズバーガーが好きだ。
それから大相撲5月場所の初日を両国国技館に見に行った。私はもともと子供のころからの大相撲ファンだ。私たち夫婦は大相撲が大好きだ。米国ではNHK国際放送で英語のダイジェスト版が見られるので夫も理解できて大相撲に詳しくなった。テレビジャパンという日本語放送でも大相撲はやっていて生放送は米国の深夜で、ダイジェスト版は夕方だ。
初日は関脇・大関・横綱という上位陣は全員勝って安泰だった。両国国技館名物の焼き鳥を食べながら生の大相撲を観戦するのは楽しい。私も夫も日馬富士の大ファンなので両国国技館のお土産店で日馬富士のグッズを探した。引退した力士のグッズは普通あまり売られていないのだが、私のように日馬富士のグッズを探している人が結構いて、見つけてはキャーキャー言って喜んでいた。私は日馬富士の絵葉書を二枚買った。お店の人が言っていたが一枚は引退後に売り出しになったものだそうだ。まさかあんなに急に引退するとは誰も思っていなかったから、もともと準備していたものを売り出したようだった。
ホテルニューオータニ東京に移動して日本最後の2日間。以前泊まった時、夫がニューオータニを気に入ってまた泊まりたいと言うのでここにした。しかし最初に案内された部屋はなぜか臭かった。たぶん前に宿泊していた人が酷いわきがだったのか?空気を入れ替えればまあいいかと思ってその場ではすぐ言わなかったが、数時間たっても臭いままだったのでホテルに苦情を言うと、とても丁寧に謝ってくれてすぐに別の部屋にかえてくれると言う。しかしもう夜遅くて寝たかったので、では明日の朝にということになった。翌朝案内された部屋はアップグレードされたいい部屋だった。さすがニューオータニ、感じが良かった。
ニューオータニ東京の楽しみの一つは朝食だ。さつきというダイニングの朝食バフェは一人5千円して高いが一つ一つの料理がとてもおいしい。それから日本庭園もきれいだ。ニューオータニ東京にはいろいろ思い出がある。大学1年の頃、女友達数人とロビーを散策してカフェでオレンジジュースを飲んだ。本物のオレンジを絞ったジュースでとてもおいしかった。しかし当時一杯千円もするオレンジジュースをそれまで飲んだことがなかったので高くてびっくりだった。
成田を飛び立ちロサンゼルスに到着。ウェスティン・ロサンゼルス・エアポートに泊まった。時差もあり私たちはひどく疲れていたのですぐ寝た。ベッドに横たわるとベッドがとても寝心地が良かった。ウェスティン・ホテルのベッドはホテルの中でもベッドの質が特に良いのだが、その寝心地の良さに米国を感じた。日頃ベッドで生活する人はベッドの寝心地にこだわりがある。それは日本人が白米の味にこだわりがあるのと似ているかもしれない。日本のホテルではこれほどの寝心地の良さを感じることはなかった。
それからホテルのカジュアルなレストランでハンバーガーとクラムチャウダーを食べて米国を感じた。日本の庶民的なレストランではクラムチャウダーを出すところはあまり見かけない。米国では紙ナプキンも大きくてケチらずたくさんくれる。日本の庶民的な店ではペラペラの小さな紙ナプキンしか置いてない所が多い。
ロサンゼルスから翌日ようやくフロリダの自宅に無事戻った。旅行した後で自宅に戻ると、夫はいつも”Home is the best!” (我が家が一番!)と言う。日本人もそう言うことあるし、どうやらユニバーサルな表現らしい。時差ボケがまだある中、家でNHK国際放送で大相撲五月場所を見て、「ああ、僕たち初日はあそこにいたのにね、まだ大相撲やってるのに僕たち今はこんなに遠くにいる。なんか不思議な感じだね。」と夫がつぶやいた。日本から米国に戻るといつもワープしたみたいに私も感じる。