今月の執筆者

門脇 慧

いったん地元を離れると…

先日アジアのある国に行ってきた。私はその国へ行くのは初めてだったので、心を踊らせて日本を発った。事前に調べていた観光名所を巡り、とても充実した時間を過ごすことができた。日本ではできないことを多く経験し、異文化に触れることができたからだ。思い出に残る3泊の旅となった。

ただ、いくつか気になる点があった。部屋に着いて荷物を置き、一息つこうとベッドに横になったときだ。布団が少し湿っているのだ。旅で疲れたので休もうと思っていたのに、逆に目が覚めてしまった。この国は湿度が高いのでその影響かなと思い、2日目の観光を終えて戻ってくるとまた同じように湿っている。3日目も同じ結果だった。

朝はホテルバイキングだったが、一通り食べ終わり空いたお皿に次の料理を入れてこようと思ったとき、ホテルマンに無言でお皿を下げられてしまった。その後周りの様子を観察していると、皆が同じように空いたお皿をせっせと片付けている。そういう教育なんだなと思い、新しいお皿に美味しそうな料理を盛りに行った。

私は決してこの国の悪口を言いたいわけではない。この経験により日本の素晴らしさを再発見できたことを言いたいのだ。日本のホテルでは当たり前のように布団は乾いているし、お皿を下げるときは一言断ってから下げている。普段それが当然のこととして認識しているからこそ、一歩外に出たときにその良さを改めて感じることができるのだ。日本のサービスはこんなにも質が高いのである。

私は大山町出身である。中国地方最高峰の大山と雄大な日本海に挟まれた住みやすい町である。高校を卒業し大学4年間を大山町から離れ一人で暮らし、就職先が決まり地元大山町に戻ってきた。生まれてからそのときまでは感じたことがなかったが、このとき初めて不思議と大山町っていいなと感じた。一端地元から離れることで身近にある今まで気付かなかったことに気付くことができたのだ。また一人暮らしをすることで食事洗濯掃除などの大変さがわかり、毎日当たり前のようにしてくれる親の偉大さにも気付いた。

何事においても気付くことは大切だ。私は合唱を10年ほどしているが、自らの声や所属している合唱団の声を録音して聴くことがある。自分はこう歌っているつもりだ、この音を出しているつもりだ、こういうテンポで歌っているつもりだ、と思っていても、いざ録音したものを聴くと想像とはまるで違っていることが多い。これは良い練習方法だなと思う。

30年間で感じたことをいろいろ挙げたが、これからも沢山のことに気付ける心の余裕を持って人生を送りたい。

(合唱団こさじ)