「英語であいさつ」

次へ

 

通信エラーが発生しました。再読み込みボタンを押してください。

 

いまどきは少し違うかもしれないが、日本の中学一年で初めて英語を習うとき “How are you?” “I’m fine, thank you, and you?” というフレーズをたたきこまれるので、外国人に “How are you?” と聞かれたら反射的にそう答える日本人が多いと聞く。米国で急病になり救急車で病院に運ばれて息も絶え絶えなのに、医者に “How are you?” と尋ねられると日本人は “I’m fine, thank you.” と答えるというジョークがある。

“How are you?” と聞かれたら、状況によっていろいろな答え方がある。まず「ごきげんいかがですか?元気ですか?調子はどうですか?」という意味で聞かれている場合は、普通は “I’m good!” と答えればよいと思う。米国では大げさにポジティブに答えるのをよしとする所があるので、“Great!” とか “Excellent!” とか “Can’t be better!” とか実際より良く答えるのもよい。

“I’m fine.”  “I’m OK.” でもよいのだけれど、そう答えると「普通です。」「いつも通りです。」「まあ元気です。」という感じがする。“So-so.”  “ Not bad.”  “Can’t complain.” とか答えると、「たいしたことないけど、あまり良くない。」という意味になる。

“Pretty good.” 「かなり良い、なかなか良い。」と言う表現も良く使われる。 “pretty”というと「かわいい」という意味しか思い浮かばないかもしれないが、別の意味で「かなり」という意味がある。“Pretty bad.” と言えば「かなり良くない。」ということだ。

本当に良くないなら“Not good!” とか “Terrible!” とか答える。そういうネガティブな返事をするということは、何があったのか聞いてくれと言っているようなものなので、“What’s wrong?”  “What happened?” と聞いてあげるのが普通だ。

“How are you?” はそもそも“Hi!” と同じ意味で使われることも多い。その場合は「こんにちは!」とか「やあ!」とか言っているだけなので、それに対して真面目に自分の気分の具合を答える必要はない。通りすがりに“How are you?” と言われたら “How are you?” とそのまま返してもいいし、“Hi!” と返してもいい。それを知らずにいちいち立ち止まって“I’m fine, thank you, and you?” なんて返すと、めんどうくさがられるかもしれない。ちなみにその場合の “and you?” はなんだか古めかしい感じがする。聞き返すなら日常会話では“I’m fine. How about you?” と言うのが普通かと思う。

“How are you?” は標準的な言い方だが、もっとくだけて“How are you doing?” “How’s everything?” というのも良く使われる。それから、あいさつをするときに “How are you, Jim?” “Hi, Susie!” というふうに相手の名前を最後につけて言うのがより良いとされている。毎日学校や職場で友達や同僚などにすれ違う時は、“Hi, Susie!” “Hi” すら省略して片手を軽くあげて“Susie!” と名前だけ言って通りすぎることもある。

“How are you?” は「はじめまして」の意味でも良く使われる。中学英語では「はじめまして」は “How do you do?” と習うが、それはとてもフォーマルな表現でめったに使われない。私は長年米国に住んでいるが、米国人に「はじめまして」の意味で “How do you do?” と言われたことは一度もない。米国ではパーティーや近所の人などに自己紹介する時は、普通は “How are you?  I’m Yoshiko.”「はじめまして、ヨシコです。」という感じで言う。

米国人が良く使う表現で “I’m OK.” というのがある。さきほど出てきたように“How are you?” の返事で “I’m OK.” と言っているのなら、「まあ元気です。そこそこです。」といった感じの意味だが、たとえば道で転んだりとか、何か問題があって “Are you OK?” 「大丈夫ですか?」と聞かれて、“I’m OK.” と答えるのは「大丈夫です。」の意味。 “I’m OK. I’m fine.” 「大丈夫、何ともないです。」という感じで言う。

ちなみに、“How was it?” と何かについて評価を尋ねられた場合、“It was OK.”と言ったら、「そこそこだったね、悪くないけどたいしたことなかった。」という意味になるので気をつけよう。良かった場合は “It was good!” “Great!” “Wonderful!” “Amazing!” とか大げさに良く表現するのがいい。

それからまた別の状況で “I’m fine.” とか “I’m OK.” については気をつけないといけないことがある。たとえば “Would you like some?” 「いかがですか?」とクッキーを差し出して、相手が “I’m fine.” “I’m OK.” と答えたら、それは “No thank you.” 「結構です。」という意味だ。その表現は日本語と似ていて、「結構」は肯定的な意味にもなるし、否定的な意味にもなる。「いいえ、結構です。」の意味で “No thank you. I’m good.” と言う人もいる。“Good!” だけなら「それはいいですね!クッキーもらいます。」の意味になるのでまぎらわしい。

“No thank you.” の意味の“I’m fine.” “I’m fine without it.” の意味であることを覚えておこう。実際の場面では、ジェスチャーでNOの表現をしながら “I’m fine.”とか “I’m OK.” とか言うので雰囲気でわかるからそれほど混乱することはない。クッキーを差し出されて食べるなら “Yes! Thank you!” と普通は言って、すぐ受け取るのだから。

“Hi Guys!” 「ハーイ、ガイズ!」というあいさつを米国のドラマや映画などで聞いたことはあるだろうか?“Guy” は成人男子で、奴、野郎という意味だ。その複数だから辞書的には「ハーイ、野郎ども!」なのだけれど、米国では口語で複数の人に対して気軽に「やあ、みんな!」の意味で使われる。本来は男性集団に対して使われる言葉だが、現代では男女混合の集団に対しても使うし、女性ばかりの集団に対しても“Hi Guys!” と言う。気取って“Hi Ladies!” と言うことももちろんあるが。

ちなみに “you” という単語は単数でも複数でも同じなので、「あなたたち」と複数であることを口語で強調したいときは “You guys” を使ってたとえば “You guys are great!” 「あなたたち素晴らしいわ!」と表現する。この場合も集団が男性だけでも男女混合でも女性だけでもかまわない。便利な表現だと思う。

米国の人は夫婦間、家族間、恋人間でとても気軽にあいさつのように “I love you.” と言う。日本では「愛してる。」なんて一生に何度言うか言わないかみたいな感じで、ここぞという時にしか言わないので、不思議な気がするだろう。私の夫(米国人)はすごく頻繁に “I love you.” と言う。数えたら一日に20回くらいは言っている。

朝起きての「おはよう」の時、「行ってきます」の時、リビングルームのソファーに座っている夫の前を横切って目があった時、電話で話が終わって切る時、Eメールや携帯メッセージの書き終わりの時、おやすみなさいの時などに “I love you.” を最後に付けて言う。以前になぜそんなに何度も何度も “I love you.” と言うのか聞いたことがある。すると夫は「世の中で生活していて、いつ何が起こるかわからないだろう?最後に君に言った言葉が変な言葉だったら嫌だからね。」と。ジーンときた。