今月の執筆者 川上久江
ボランティア活動で思うこと
私がコーラスを始めて、6年が過ぎました。毎週ある練習日は、疲れていても練習が終わると清々しい気持ちになり、とても居心地の良い居場所になっています。団員の皆さんと、とても素敵な時間を過ごすことができて、幸せな温かい気持ちになります。
ところが、今年から前の会長さんから会長を引き継ぐことになりました。もう毎日あたふたとしている私のところに、ボランティアの依頼が続々と…。皆さんの団でもボランティアに行かれていることでしょう。先方のことを考え、どうしたらもっと喜んでもらえるか、考えて、考えて… 行きますよね。
私が初めてボランティアで訪問した先は、亡くなった姑が初めて利用した施設でした。介護認定を受け、嫌がる姑を宥めすかして、デイサービスに行ってもらいました。当時は、姑もまだ葛藤している頃。私も夫も段々と相手を思う心の余裕がなくなって、お互い苦しい頃でした。歌っていると、高齢者の方が当時の姑と重なり、ボランティアで歌を歌っているのに当時のことが浮かんで、涙が流れて止まらなくなってしまいました。演奏曲が終わるころには、泣きはらしたような顔になっていたと思います。
あの時の感動が、ボランティアに行く理由になっているようです。とても緊張しますが、高齢者の方の笑顔を見ると充実感でいっぱいです。
それからもう一つ、私が好きでしているコーラスが、体の健康にも心の健康にも繋がっていると思っています。音楽療法という言葉をよく耳にするようになりました。音楽は記憶の扉を開けるカギとも言われているそうですが、高齢者の方ばかりでなく病気の方への心理療法として、また終末期のケアにも利用されるそうです。その人の人生を振り返ることで精神の安定を図ったり、自分の人生を再発見し気持ちを前向きにしてもらったり。そんな気持ちで歌を歌いにボランティアに行っているようなものです。
さて、この原稿依頼を受けたのは3月の末でした。が、この原稿がたよりに載る頃は、新しい元号になっているのでしょう。どんな未来が待ち受けているのでしょうか。桜の頃には、散る桜を思い、紅葉の頃には色づいて散る紅葉を思う。今年引き継いだばかりなのに、もう世代交代のことを考えておきます。次の人のために精いっぱい咲いているよう、ボランティアでする内容を精いっぱいひねります。そろそろ1000字になるようです。心地よい居場所、ザ・ラニアルコーラス、大好きです。(ザ・ラニアルコーラス)