イースター休暇でNYへ

 

フロリダに転居してからは毎年クリスマスにNYに行くのだけれど、前回は夫の体調がいまひとつで、極寒の時期のNY訪問は難しかったので、春のイースターにNYに行った。イースターは暦によって毎年ずれるが、今年は4月21日日曜だった。

 

それで夫と私は4月19日から、マンハッタンの国連そばのミレニアムヒルトンUNプラザに宿泊。20日土曜日に久々にメトロポリタン・オペラハウスでモーツァルトのオペラ「ティト帝の慈悲」を見た。

 

メトロポリタン・オペラハウスはリンカンセンター内にある。リンカンセンターはセントラルパークの南西角近くに位置し、ほかにNYフィルの本拠地であるデイヴィッド・ゲフィン・ホール(2015年にエイブリー・フィッシャー・ホールから名称変更)、デイヴィッド・H・コーク劇場(2008年にNY州立劇場から名称変更)、アリス・ターリー・ホール、そしてジュリアード音楽院などがある。リンカンセンターの風景を久々に見て、「ああ、私はNYに住んでいた頃、すごく音楽的に恵まれた環境にあったんだなあ。」とつくづく思った。

 

NY在住時、私は数年間メトロポリタン・オペラの定期会員になっていたので一シーズンに6回か7回位オペラを見ていた。勝手知ったるメトロポリタン・オペラハウス。2015年にフロリダに転居してから一度も行ってなかったので、久々の華やかな空気が何とも言えない。今回は一階席で前から5番目左側という舞台に近い席だ。

 

「ティト帝の慈悲」は主役は大昔はカストラート(去勢された男性高音)が歌っていたが現代では女性のメゾソプラノが歌う。主役のJoyce DiDonato が歌うアリア「Parto, parto」が素晴らしく、拍手がなかなかなりやまなかった。近年はモダンな演出の出し物が増えたが、このオペラはクラシックな演出で舞台装置も豪華で素晴らしく、実に見ごたえがあって大満足だった。

 

土曜のマチネ(昼間の公演)だったのでオペラを見た後、ジュリアード音楽院のショップに立ち寄って、ジュリアードのトートバッグ、マグカップ、ボールペン、鉛筆を購入。ジュリアードには社会人向けに行う夜間クラスというものがある。私は音楽史や声楽のクラスを取った時のことを思い出した。その時はジュリアードの図書館も使えたし、学生たちが行く学内のカフェテリアに何度も行った。音大だけあって紅茶に入れる蜂蜜が用意されていて、声楽の授業前にそれを飲んでいた思い出がある。

 

翌日曜日はイースター・サンデー。マンハッタンに住む夫の姉の家に親戚が集まる。2017年のクリスマス以来で、みんなに会えてよかった。イースターは「春分の日の後の、最初の満月の次の日曜日」と決められていて、キリストの復活を祝う春のイベントだ。イースターのシンボルは、たまご(イースター・エッグ)とウサギ(イースター・ラビット)。たまごは生命の始まりのシンボルで、ウサギは多産で豊かさや繁栄のシンボルだ。

 

イースターには各地でパレードが行われるが、マンハッタンではでは五番街の一部を歩行者天国にして、イースターの為に作った華やかなで奇抜な帽子をかぶった人たちが自由に練り歩く形式だ。私は参加したことはないが、いつもテレビで見ていた。

 

月曜日はホテルでゆっくりしていた。最初の予定では火曜日には隣のニュージャージー州に足を延ばして、以前よく行っていたジャージーショアのホテルに一泊するつもりだったのだが、夫の体調を考慮して行かないことはその数日前に決めていた。それでもう一泊同じホテルに延長宿泊したいと思ったのだが、火曜日の値段はそれまでの2倍の値段になっていた。国連でなにか会合があるらしい。それで前日のラストミニッツでホテルにそれまでと同じ値段で泊まれるように交渉しようということにしていた。ホテルとしても空室になるよりは安い値段でも連泊追加希望の客を泊める方が得なはずだ。それでホテル側と月曜の夕方に交渉成立でそれまでと同じ値段で火曜日も宿泊できることになった。

 

火曜日はNY在住の日本人の友達と日本食レストランでお寿司を食べた。いまどきはフロリダでもお寿司は普通に食べられるが米国風にアレンジしたものが多い。さすがにNYでは本格的なお寿司や和食が食べられる。お味噌汁がシジミ味のだしがきいていてとてもおいしかった。彼女は私が米国の大手監査法人KPMGのNYオフィスで働いていた頃の上司で、ずっと独身だ。すごく仕事ができて優秀と評判の人だった。独立して事務所を持っていたが去年完全に引退したそうだ。彼女もオペラが好きで趣味で声楽を習っていて気が合った。

 

水曜日は空港の近くのホテルに泊まり、木曜の朝早くフロリダへの飛行機に乗った。イースター休暇にはトランプ大統領夫妻はフロリダのパーム・ビーチにある別荘に来ていたそうだが、私たちと入れ替わりだ。もう帰った後だったので空港の特別態勢もなくてよかった。ウェスト・パーム・ビーチの空港からウーバーで家まで帰ろうとしたら、なぜかアイフォンの調子がおかしくてなかなかつながらない。最初からやり直せばうまく行くと思ったが、夫が疲れていて待ち時間がつらそうだったので、すぐに乗れるタクシーを使った。ウーバーなら40ドル位なのだが、タクシーでは75ドルにチップ15ドルで合計90ドルにもなってしまったがしかたない。大都会ではタクシーとウーバーの値段差は小さいので、手をあげたらすぐ乗れるタクシーの方が便利だが、郊外ではタクシーが高いのでウーバーの方が使い勝手が良い。

 

家に戻ってやれやれ。南フロリダはさすがに暑い。ついさっきまでフリースのジャケットを着ていたのに、今は冷房のきいた家の中が心地よい。またフロリダの日常に戻った。