文化サロン第11期 音楽サロン「第九を歌おう」
第13回 「総仕上げ」 (12月23日)


〈 感 想 〉

 「総仕上げ」という題名通り、今回はベートーヴェン作曲、交響曲第九番の第4楽章を通しで演奏する映像を鑑賞しました。音楽を慈しむように指揮棒を振る井上道義さん、持てる力を出し尽くそうとする合唱とオーケストラ、ソリストのみなさんによって、音楽の楽園が出来上がっていました。
 このサロンで何度も第九の第4楽章を聴く機会に恵まれましたが、聴くたびに「天国があるとするならば、このような音楽の流れるところなのかしら」と感じました。光差す天の国に住まうであろう神様や天使を想像させるように、時に力強く、時に荘厳に、「歓喜の歌」は様々な表情を見せました。回を重ねるにつれ、サロンの参加者ごとに「歓喜の歌」の中でそれぞれお気に入りの部分ができていったことも印象に残っています。私は終盤あたりの「Alle Men-schen」と歌うところが特に気に入っています。
 そして何度も聴いていくうちに、年末の日本で第九が良く演奏されるようになったのは、一年間の苦しみや困難を洗い流そうと、すべての人を救い上げようとする力強さと人間愛に満ちた「歓喜の歌」を求めたためなのかもしれない、と考えるようになりました。大晦日に除夜の鐘を突いて、煩悩を振り払おうとするのと少し似ているのかもしれません。いずれにせよ今年の大晦日は、テレビの第九を視聴して、晴れやかな気持ちで年を越したいと思います。
 今日鑑賞した映像の最後では、井上道義さんが「第九だけでなく、いろいろなクラシックの曲を楽しんでほしい」と仰いました。その言葉通り、これからもたくさんの曲に触れあって生きていきたいと思います。

(倉吉市/20代/女性)