文化サロン第6期 「禅の世界」 第3回 禅の造形(5月20日)


〈 感 想 〉

今回は「禅の世界」の最終回ということもあり、禅とは何か、悟りとは何かという哲学的なお話から、住職になるための修行のお話、さらにはお寺の運営に関することまで、幅広いお話を聞くことができました。
 初めに鑑賞した映像では、禅の持つ簡素・清潔・様式を尊ぶという性質が、日本の能・茶道などの諸芸の所作・教育システムなどに深く影響を与えたことや、「幽玄」「簡素」など、禅を構成する7つの要素などが紹介されていました。
 私が特に気になったのは、悟りを得た僧による悟りの体験などを書で表した「墨跡」というものでした。中には漢字ではなく○や△という図形が並んだものもありました。悟りを示すには、文字という概念から抜け出す必要があったのでしょうか。当然のことながら、禅に関する修行をしていない私には何のことかさっぱり分かりません。しかし、悟りを得ることの難しさだけはとても強く感じることができました。
 映像鑑賞後は、講師である南苑寺のご住職である小野塚さんのお話、質疑応答などがありました。南苑寺建立のいきさつや、浄土宗の方からみた禅宗への印象、禅的な要素を持つ音楽の話など、小野塚さんや参加した方々から、興味深い話を数多く聴くことができました。
 日本の諸芸や生活に根付いた、無駄のない凛とした美しさを持つ禅の精神。これから生活を送る上で、少しでも身に付けていければと思います。まずは、あじさいの咲く南苑寺の石段を登ってみることから始めてみたいです。