6月30日文化サロン「不安な影」感想

 

 今回はまず、ゴッホ、ムンクなど、絵の中に人間の、あるいは自分自身の内面や感情を表現しようとした画家、「表現主義」という分類にあてはまる画家に焦点を当てた映像を鑑賞しました。月の光が渦巻いていたり、風景が画家の感情によってゆがんで描かれていたりと、独自性豊かな作品が目立ちました。

 「人間の内面を表現した絵」と聞くと、今でこそ特に珍しく感じませんが、当時は従来の絵画の手法や、実物の色・形などを無視したとても斬新な絵として人々に衝撃を与えたことでしょう。もしかしたら、その斬新さゆえに当時の人には理解されなかった作品も多々あったのかもしれません。

 また、表現主義の画家たちが生きた時代には、二度の世界大戦が起こっています。現実の世界は、画家たちが描きたいと思う対象ではなかったのかもしれない、そんなことを考えました。

 映像鑑賞後のお話では、今「これから自分が何を描くのか」を探すためには、昔からの絵画の世界の流れを知っておかなければならないという言葉が印象に残りました。確かに、昔あった作品と似たものを作ったとして、それがどんなに技術的に素晴らしくとも、誰もそれを独自のものとは認めてくれないでしょう。

 私はイラストを描くことが好きなのですが、これから自分が何を描くのかを考えるためにも、もっと美術の歴史をよく知りたいと感じました。