ニューヨークの風〔肥和野佳子

ニューヨークの風16(2010.4.15)

ストレートヘア流行

日本発のストレートパーマが米国で、はやっている。 3年くらい前からストレートパーマをするアメリカ人女性が徐々に増えてきた。

日本女性は生まれつきストレートな髪質の人がほとんどで、わざわざパーマをかけてカールをつけたりするのだけれど、アメリカでは生まれつきウェーブのある髪質の人が多く、白人も黒人もストレートのさらさらヘアはあこがれの的。テレビ番組で中年の白人女性が、ストレートパーマで長年の夢だったさらさらヘアになって、頭をささっとふって揺らせたとき髪がさらさら落ちてくるのがうれしくてたまらないと言っていた。

オバマ大統領夫人のミシェル効果か、最近は黒人女性のストレートヘアが大流行。印象的だったのは、ミシェルは2008年夏の民主党大会のときもストレートパーマでさらさらヘアにしていたが、2009年1月のオバマ大統領就任式でもストレートパーマでさらさらのヘアスタイルをみせた。そのときは、ミシェルだけでなく当時10歳の長女、マリアまでがストレートパーマでさらさらの髪にしていた。

大統領就任を祝う舞踏会のひとつで歌っていた、あのビヨンセは、なんと髪を金髪に染めて、ストレートパーマのさらさら髪でみなをびっくりさせた。ミシェルといい、ビヨンセといい、黒人女性のロールモデル的な存在がこぞってストレートヘアなので、一気に流行に火がついたようだ。

実はこのストレートパーマ、4〜5年前くらいまで米国では行われていなくて(今でも都会でないとやっていないかもしれない)、日本と比べると料金がずいぶん高い。カット料金など含まず、ストレートパーマ料金だけでニューヨークでは250ドルから350ドルくらいする。気軽にできる値段ではない。 だから、経済的に余裕のある層でないと今のところできないのが現実だけれど、ストレートヘアはどんどん流行中。

どうやら、ストレートパーマをする経済的余裕のない人は、ストレートの髪のカツラや付け毛をしているらしい。このストレートヘアの付け毛の付け方をテレビ番組で見た。それは黒人女性専門の美容院で、女性はまず地毛を、黒人女性特有のヘアスタイルである、細かい三編みの縄目に頭に編みつけてもらう。その後さらに、髪の毛の根元からストレートヘアの付け毛を少しずつあみこんで取り付ける。とても細かく、そして時間のかかる作業だ。しかし出来上がりはストレートのさらさらヘア。お客はとても満足そう。

ニューヨークの日系の美容師さんの話では、黒人のきつい天然パーマの人の髪をストレートパーマするのはえらく難しいらしい。パーマ液の強さの関係などで髪が、切れてしまうこともあるとかで、場合によっては、希望通りには結果を得られそうもないので、お断りすることもあるそうだ。

日本の美容師さんによると、パーマ液やトリートメント剤の開発やその技術の進歩は日本が世界一だそうだ。 なるほど、ニューヨークでも日系の美容室(美容師が日本人の男女)はここ15年でどんどん増えている。最初は日本人が主な客だったが、今では米国人のお客もかなりいるようだ。パーマだけでなくカット技術やサービスも好評らしい。 世界に誇れる日本発のもののひとつに、ストレートパーマがあることは確かだ。