ニューヨークの風〔肥和野佳子

ニューヨークの風2(2009.1.15)

クリスマスツリー

日本では12月24日か25日が過ぎると街が一夜でお正月飾りに変わるが、米国ではお正月も三が日もなく、クリスマスツリーはだいたい1月7日前後まで飾ったままだ。

クリスマスツリーは家庭によって生木の場合と人造木の場合がある。我が家では例年生木で身長くらいの大きさで50ドルくらいのものを買う。生木のツリーを買うとき、水揚げをよくするために店で木の根元を5センチくらい切ってくれる。 そして望めばその切れ端をくれる。その切れ端はとてもいい香りがするので、小さなお皿の上などにのせて、天然の木の香りのルームコロンとして使うことができる。
オーナメントは昔から使っているものや、最近買ったきれいな一点ものや、人にプレゼントでもらったオーナメントや、手作りのオーナメントを飾り、それぞれのオーナメントに思い出があったりする。
生木のツリーはそれ用のスタンドで立てる。四方それぞれに大きなねじがついていて、ツリーの根元をねじで締めて固定させて立てる。ツリースタンドには水が入れられるようになっていて、時々水を補給する。スタンドに土は入れない。生木のツリーは自然の木の香りがとてもよい。しかし、乾燥してくると針葉樹の葉がぽろぽろ落ちてきて、周りを時々ほうきではいて掃除しなくてはならない。

ツリーの足元にはクリスマスのプレゼントをたくさん並べる。プレゼントは親戚や友人などから早くもらっても、24日の夜か25日の朝まで開けずにそのまま飾っておく。クリスマスのプレゼントは、日本では家族が子どもにあげる時や夫婦で交換する時は、一人に一つか二つ程度が普通かと思う。しかし米国では一人に対しプレゼントを5個から10個くらい小分けにしてたくさん贈る。比較的高価なものは二つ程度であとはお菓子とか、Tシャツとか、日用品とか日ごろ普通に買うようなものでも、プレゼントとして包んで数を増やす。プレゼントを開ける楽しみを増やすのと、クリスマスツリーのにぎやかしのためにそうするのだ。
 ツリーを片付けるときは、オーナメントをそれぞれ箱に入れて片付けて、それから、ツリー用の大きな、大きなビニール袋(長身の人間が十分はいる大きさ)にツリーを入れて、生木ツリーを捨てるための規定の場所(家の前の歩道脇)に置く。別に袋にいれなくてもよいのだが、袋に入れないとツリーを捨てに行く最中に、葉がぽろぽろ落ちてあとで掃除がたいへんなのだ。
 地域によって多少違うが、このあたりでは、ツリーはそのまま回収だとかさばるので、特別なトラックがきて、木を細かく砕きながら吸い込んで回収する。毎年毎年生木を買っては捨てるなんて木がもったいないような気もするが、クリスマスツリーはそれように農家が栽培して作るものなので、環境問題にはされないようだ。
 ちなみにクリスマスシーズン中は、美術館や博物館、オフィスビルや大きな住宅ビルのロビーなどに大きなクリスマスツリーが飾られ、名物ツリーもある。私が一番好きなのはなんといってもメトロポリタン美術館のクリスマスツリーだ。
 メトロポリタン美術館のクリスマスツリーはあまりに荘厳!気高い!米国でもクリスマスはある程度商業化されているが、クリスマスはキリスト教の特別な大事な日なのだということをあらためて気づかされる。初めてこのツリーを見たときは、他のどんなツリーを見てもつまらなく思えるほど感動した。もしクリスマスのシーズンにニューヨークに行くことがあれば、ぜひ見学することをおすすめ。