第42回
「♯一時帰国あるある」
海外生活者が日本に帰省するとき、みな似たような経験をしているものだ。最近ツイッターのハッシュタグ「♯一時帰国あるある」で、「そうそう、こんなことあるある」と海外生活者はもちろん、海外経験のない人の間でもとても盛り上がった。海外といってもいろんな国があるので、いったいどこの国から帰ってきたのかと思うようなツイートも面白かった。私の場合は米国からのことになるが私もたくさんつぶやいた。他の人がつぶやいたものも含めてそのいくつかを紹介したい。
(あいさつ編)
・成田の入国審査でパスポートを渡す時、つい「こんにちは」と言ってしまう。
・店員の「いらっしゃいませ!」に反応して「こんにちは」と言いたくなる。
・エレベーターで知らない人にあいさつして変な人と思われる。
・スーパーやコンビニで会計するとき係りの人ににっこりして不気味に思われる。
日本人は成田で入国審査の時パスポートを黙って渡すが外国ではHello!とか係員に何か言うことが多い。店員からの「いらっしゃいませ」に対して客は黙ったままでよいのが日本では普通だけれど、外国では店員のあいさつには何か返事をしないと変な客と思われる。一般に知らない人に対してもコミュニケーションが豊か。
(電車編)
・電車の券売機が複雑でいつも切符を買うのが真剣勝負。
・山手線電車内のテレビのような動画の広告を見てどこの未来都市に来たのかと愕然とする。
・3分しか遅れていない電車で遅れたお詫びの車内放送に違和感。
・どこに行っても日本語が通じてうれしくなる。電車の中でいろんな人の日本語を聞くのも楽しい。
・小学生が一人で満員電車やバスに乗って通学しているのを見て、あんなに小さいのに一人で通学させて大丈夫なのかと心配になる。
・東京では夜9時でも通勤客がたくさんいてみな遅くまで働くのだなとつくづく思う。
特に東京は経営が異なる会社の電車に乗り継ぐ路線が多く、乗り換え可能な切符を券売機で買う際の操作が難しくて、慣れないので時間がかかり後ろに並んでいる人に迷惑をかけてしまう。電車が新しくてきれいでハイテクだ。日本の電車はおそろしく時間が正確で超便利。3分ぐらいの遅れなんて全く遅れてないのと同じではないかと思ってしまう。外国ではいつも特定の人の日本語しか聞いていないので、電車内の他人の会話を聞くのも新鮮に感じる。日本の電車には小さな子供が一人でも乗っている。米国では一般に13歳未満の子供は家で子供だけで留守番させてもいけないし、一人で外出などもってのほか。安全な日本にあらためて驚く。夜遅くまで通勤客がいて電車も結構混んでいて相変わらずたいへんそうだなあといつも思う。
(家庭編)
・日本に冬帰国すると寒くてかなわない。
・トイレのスリッパで廊下を歩いてしまう。
・トーストが分厚い。
・夜、家の中がやけに明るい。
日本の冬は半端な寒さなので集中暖房が北海道を除いて発達しておらず、冬の日本の家の中はとても寒い。ロシア人でも「家の中がこんな寒いのは信じられない!」と言って寒がっている。だけどそこは日本育ちの日本人、一週間もいると家の中の寒さにも慣れる。スリッパの細かい履きかえルールを忘れて気が付いたらトイレのスリッパを履いたまま。外人みたいなことして、と思わず自虐苦笑。日本のパンはしっとりとしていてパンそのものがおいしい。厚切りの食パンで素材そのものを味わって食べることができる。米国の食パンはサンドイッチ用で薄くて小さくてパサパサ。日本の食パンの方がずっとおいしい。日本の家では天井に蛍光灯があって部屋全体が明るい。米国の家では天井に電灯がないことが多くフロア・ライト程度なので薄暗い。
(買い物編)
・デパ地下でディズニーランドのように狂喜する。
・デパートの店員の数が多くて探さなくてもよいことに感謝。
・財布の中にこんなに現金を入れて持ち歩いていいのか思う。しかし1万円がすぐ飛んでいく。
・クレジットカードを使う時、店員に「1回でよろしいでしょうか?」と聞かれ「え?」と思う。
日本のデパートの食品売り場の充実ぶりは世界一。おいしそうなものがたくさん。日本の味に飢えているので見るもの見るものによだれが出そう。ケーキや和菓子もきれいでとてもおいしくてすごい。日本の店員さんたちはとてもあいそうがよく丁寧で親切。米国のデパートは店員が少なくて必要な時に探してもなかなかいなくて困ることがある。米国では少額でもクレジットカードで買い物をすることが多く、現金は普段$40くらいしか持ち歩かないが日本ではいつも2万円くらい持っていないと不安になる。日本人の海外旅行者はその調子でたくさん現金を持ち歩いていることが多いので狙われるのだろう。米国のクレジットカードは商品ごとの分割払いという支払い方法はないので、店員に「1回でよろしいでしょうか?」と言われても何が1回でいいのか質問の意味が一瞬わからず、そういえばそういうのがあったなあと思う。
(警察編)・警官の武装が足りない。
・婦人警官が女だとすぐわかる。
・おまわりさんが自転車に乗ってパトロールしているとき、警官なのにヘルメットもかぶらず自転車に乗っていいのかと注意したくなる。
米国の警官は装備が重厚だ。拳銃も大きく、近くで見るといろんな怖そうなものをもっている。女性の警官は男性と全く同じユニフォームを着ているので遠くから見ると小柄な男性くらいにしかみえず、至近距離で顔とヘアスタイルを見てようやく女だとわかる。これは警官が女性だとわかるとかえって犯罪者に狙われて危険なため意図的にそうしているそうだ。米国では自転車に乗るときはみんな自転車用のヘルメットをかぶるのが普通。米国は車社会なので警官が自転車でパトロールすることは、普通はないが、マンハッタンは車が混んでいるので自転車に乗った警官がたまにいて、競輪の選手みたいなかっこうをしていてかっこいい。
(トイレ編)
・トイレのドアの取りつけ方が悪く、鍵と鍵穴が合わずしっかりドアを閉められないなんてことはなくて安心する。
・公共のトイレにもウォシュレットがあったりするほど普及していることに感動。
・トイレがハイテクで水を流すフラッシュボタンがどこかわからなくてあせる。
・トイレットペーパーが必ず手前にロールの引っ張り先がくるように取りつけてある。
・手を洗った後、自分がハンカチを持ってなくて困る。
米国の公共のトイレはいい加減な仕事をされて作られたトイレが少なくない。ドアがちゃんと閉まらなくて別のトイレに入りなおすことしばしば。日本のホテルにはたいていウォシュレットがあるし、デパートのトイレにもあったりするので、さぞかし外国人はハイテクトイレに驚嘆するだろうなと思う。米国ではトイレットペーパーが逆側に取り付けてあることが結構ある。手前に引っ張り先があるのが当然と思っていたが世界ではどちらでもいいというのが普通なのだろうか?米国ではハンカチを持ち歩くことがない。どんな田舎の公衆トイレでも、どんな小さな公園のトイレでもペーパータオルか手を乾かすドライヤーが設置されているし、お湯も蛇口をひねったらすぐ出てくる。米国のそういうインフラの高さには感心する。日本はあんなハイテクのトイレがあるのにまだそういう所は足りないかもと思う。
(その他)
・成田空港に喫煙コーナーがあり、喫煙者が泣くほど喜ぶ。
米国に比べると日本はまだまだ喫煙者の天国。レストランでも喫煙可能なところがたくさんある。空港は全面禁煙が主流なので、喫煙者は長時間喫煙できないことが苦痛らしいが成田空港にはゲートの待合室にも喫煙コーナーがあり飛行機に乗る直前まで喫煙できるのですごくうれしいそうだ。
・ジュースやコーヒーが7、8分目しか入ってなくて少ないなと思う。
米国では量をたくさん出すのが良いサービスと考えられているようで、なみなみと9分目までつがれて飲む時こぼれそうになる。日本では飲み物の注ぎ方が少なめで品が良い。
・レストランでコーヒーのおかわりが無料ではないのが残念。
日本のレストランや喫茶店のコーヒーは米国のより濃くておいしいけど2杯飲むと倍料金。米国のコーヒーは薄いけど何杯でもおかわりができるのがうれしい。
・日本の男子がみなゲイに見える。
これはツイッターで他の人が書いていてリツイートがトップランクで、多くの人が大笑いだった。たしかに男っぽい男子は少なく中性的な感じの男子が多いなあと感じる。だから日本の男子が外国へ行くとどうりでゲイがよってくるわけだ。だけど日本男児は、本当はサムライだよね。
このツイッターのハッシュタグ「♯一時帰国あるある」では短期間でも外国生活をしたことのある人が、身近な自分の体験を通して少しでも世界と日本のことを知ったことがよかったと言っていた。かわいい子には旅をさせろ、若い頃からいろんな異文化体験をしてみるのはいいことだと思う。