今月の執筆者

      新 勝

抽象写真の見所について

 第54回新協術美術神戸写真部巡回展を、この程、桑田、豊嶋、一氏、私の四人で見に行くことに話がまとまりました。折より神戸〜倉吉間を3時間で結ぶ日交の高速バスは、朝7時30分に倉吉を出発しました。午後1時、兵庫県民アートギャラリー会場に到着。

 新協美術会は1957年に創立され、写真部門の他に絵画、工芸、彫刻の4部門から構成される美術団体です。神戸写真部では作品の特徴として当然の事ながら「自然造形」作品が主流となっております。今回特に委員、代表両先生から抽象写真の見所などについてご説明があり大変感銘を受けましたので、短文でうまくまとまらないかも知れませんがご報告させて頂きます。

 まず、委員先生の出品作品ですが、先生は多くの色彩を扱って絶妙な形や色を表現しておられます。また、代表先生は、単色ながら幾重にも色の段階があり、同系色ながら微妙な色の変化で深みのある形や色彩を表現しておられます。いずれにしてもこの両先生の色彩や形は簡単に作り出せるものではなく、長年月の時間経過の末、自然が創り出しているものを見つけておられます。両先生の作品は、仏像や人間の顔、動物の形などを、現実を越えて別世界の物を見る様に美術的に表現しておられます。両先生からこのような作品作りについてのお話を伺った訳ですが、作品の深みというものは一朝一夕には仕上がらないと今更ながら感じた次第です。

 今後、抽象的な写真を作るときも鑑賞するときも、この地球という自然が長年月を経て自然に創り出していく微妙な変化を、美術的に捉え見つけ出す努力が一層作品に深みを与え、面白く鑑賞できるものと信じます。

 兵庫県民アートギャラリー帰途中、中華街で、第29回写人山陰菊里会のテーマ「竜鱗」の写真を撮影することになりました。

 今年は「古事記」の編さんから1300年の節目、因幡の白兎は古事記の神話の中で最も有名です。

 龍は古代から霊獣として扱われた想像上の動物で、麟鳳、亀と合せて四霊と呼ばれています。身は大蛇の如く、鱗は鯉に、角は鹿、頭は駱駝、項は蛇、腹は蜃、爪は鷹、掌は虎、耳は牛に似ています。龍は水中に居住し、雲を呼ぶ風に乗って空高く飛ぶといわれ、進取、飛躍の気に富んだ吉祥文として画題に登場します。壬辰年、神戸中華街の三門界隈で龍の彫刻に対峙して捉えました。

 写真展を過去21回開催していますが、第22回を倉吉市勤労青少年ホーム内リフレミニギャラリーにて、「フィジカル」と題して平成24年8月15日〜30日開催の予定です。

     (写人山陰菊里会)