今月の執筆者
伊 佐 田 品 子
25年ぶりの再会
いつからか、オカリナの音色に魅せられ、機会があればと思い続けていた。土をこね、自分の作った土笛であの音が出せたら、楽しいだろうなあ。
その思いは挫折したが、一昨年春、リフレプラザの「リコーダー教室」募集のお知らせを見、思い切って入門させていただいた。全くの素人で、講師の方の御苦労はさぞやと思うのだが、短いメロディーを楽しめるまでになり大満足だ。リコ友もできた。
さて、人との繋がりで、運よく昨年10月、25年振りに札幌市に住む友人Aさん宅を訪れることができた。Aさんは、かつて「道しば会」という書道サークル仲間で、私達一家が転勤で札幌生活の期間中(5年)あれこれと教えて下さった人だ。スケールが大きく、お年の割に前向き思考の人。すでに84歳。
当日は雪国独特の二重玄関から元気なAさんの顔、笑顔で表情はあの頃のまま。リビングでは退職されたご主人も「倉吉には雪が降りますか」など雑談の仲間入り。その後、グループの仲間のその後や、突然46歳で亡くなられたご愛息への深い悲しみ等が話題になった。
私が札幌を離れる時、Aさんから立派な筆をいただき、いつかはと思いながら、その後二度の引越し、阪神淡路大震災では被災者となりながらボランティアに参加。筆は頭から離れ、やりたいことが、すっかり別のものになってしまっている事を詫びた。Aさんはわかって下さった様子だった。
その後、ご愛息の残された唐手(空手ではなく、中国直輸入の)道場に。そこは、今は健康づくりのために地域の同好の方々に提供しており、Aさんは地域の方々との交流をしながらの日々だという。その道場の壁には彼女の力作の書が二点かけてあり、しばらく眼と心を奪われた。
かつて共に参加した公民館での練成会では、道展に出品するため「おにぎり二個とたくあん三切れ」のお昼で、黙々と筆を運び続けた。先輩達は妥協せず、とことん作品を作り出す。その根性を見せつけられ、驚くと同時に、取り組みの甘さに気づかされた場であったことを思い出した。
わずか2時間の再会。夢のようだった。
(リコーダー教室)