英国旅行記

コーラスはわい 尾崎充代

 四月十五日から十日間英国旅行を楽しんできた。旅の成功は天候にあるといっても過言ではない。最初の地、エジンバラに到着するや雨傘が日傘に変身する程の好天に恵まれすばらしい旅となった。

 イギリスの春はことのほか美しい。一斉に木々が芽吹き、様々な新緑に包まれ、八重桜からチューリップ、菜の花と大地が被われ、急速に初夏へと進んでいくそんな時期に来合わせたようだ。高緯度のために日脚が延び早く明けて夕方は八時頃まで明るく、見学する時間がたっぷりあるのもうれしかった。

 イギリスは日本と同じ島国。日本は南北に長い山の国。イギリスはやや巾のある丘陵の国で、なだらかな牧草地が広がり、羊や牛、馬の群れがのんびりと草を食む光景がいたる所に眺められ、ターナーの絵の中にいるような感触を味わった。又、イギリスは石の国、良質な石灰岩が産出される。ことに、イギリスで一番美しい村、コッツウォルズ地方は、その石灰岩を利用した家が多く壁にも塀にも使われ、こぢんまりとした煙突のある家が並んでいた。産業革命を経て発展したイギリスは植民地で得た莫大な富で今日に至る国だ。でも保守的で古い物を大切にして着実な生活を送っているのは、この豊かな大地とのんびりした光景に理由があるのかもしれない。

 私達の旅は、団体十八名。スコットランドの首都エジンバラから南のロンドンまでを七日間かけて巡る忙しい旅だった。特に印象に残ったのは、バース寺院でパイプオルガンの演奏が聴けたことだ。厳かな建築物とステンドグラスの中に響きわたる音色にしばし時を忘れて聴き入った。又五百年前のシェイクスピアの生家は、わら屋根で当時のままを行き届いた手入れがされ、たくさんの観光客を集めていた。

 チャーチルの生家であるブレナム宮殿は世界遺産にもなり、個人資産で維持できる財力に驚かされた。又イングリッシュガーデンと言われるだけあって広い庭園を二つも見学した。マナーガーデンとウイスリガーデンで、それだけ緑を大切にしているのを感じた。又世界に誇る文化遺産や美術品も多く大英博物館や美術館で無料鑑賞できたのもうれしかった。ロンドンはセーヌ川をはさんで美しい街並みだ。旅で出会った多くの英国人は、地味でおっとりと慎ましやかで好感がもてた。語学に励みもう一度訪ねたいと思いながら帰路についた。